DF髙橋の才能が花開く予感

チームの目指す方向性もより明確になった。ジェフは試合序盤からハイプレスを実行。連動された守備とそこからのカウンターは終始レイソルの脅威となっており、J1のチームを相手に自分たちのやりたいことができたという自信が、開幕前のチームにとって何よりものプラス材料となったことは確かだろう。

同試合では髙橋のパフォーマンスが印象的だった。もともと中盤の選手だった髙橋は2023シーズンから本格的に右サイドバックにコンバート。2024シーズンはその才能が一気に花開く予感を感じさせた。前半、髙橋はジェフにとっての唯一の脅威と言っても過言ではなかった柏の左サイドFWマテウス・サヴィオに、ほとんど決定的な仕事をやらせなかった。

また、ビルドアップの局面でも落ち着いたプレーをして、柏のハイプレスをかいくぐるうえでの重要なキーマンとして機能。後半アディショナルタイムにはサヴィオに強烈なミドルシュートを決められてはしまったものの、そこまで1対1の局面で決して見劣りすることはなかった。J1屈指のアタッカーでもあるサヴィオを抑えたことは髙橋本人にとっても自信となったはすだ。

ジェフユナイテッド市原・千葉 FW小森飛絢 写真:Getty Images

新エース小森の存在

2024シーズンの千葉を語るうえでやはり欠かせないのは「ちばぎんカップ」で2年連続の先制点を決めた小森の存在だろう。小森は豊富な得点パターンをもっており、そのポテンシャルは確かなものではあったが、2023シーズンまではルーキーという壁に守られていたことも事実だ。

ブレイクしたてである23歳の若武者に、昇格へのボルテージが最高潮に達したチームの10番を背負わせることに対する懸念もあった。しかしいらぬ心配であったということが、同試合で見せた勝負強さで明らかになった。試合開始して間もなく左肩を痛め一時は途中交代も考えられた小森は、サポーターの不安をよそにプレーを続行。37分に髙橋がミドルシュートを放つと、そのこぼれ球にいち早く反応し、貴重な先制点を奪った。

2023シーズンに13得点を決めてチームのエースに躍り出た小森の残留は、J1昇格の可能性をより一層たぐりよせるものだ。その一方で小森が肩を痛めた際に感じたような不安は、シーズン中ずっと続くものだろう。重圧を背負った新エースがどこまでやれるかを見極めるとともに、小森だけに依存しない得点パターンを構築していきたいところだ。

ジェフユナイテッド市原・千葉 DF鈴木大輔 写真:Getty Images