なぜ狼なの?
孤独や孤高な生き物はたくさんいるのに、なぜ「狼」という言葉が使われているのでしょうか?
狼は群れる生き物
一匹狼という言葉は、本来群れで行動するはずの狼が単独で行動していることに由来しています。
狼は、通常であればペアと呼ばれる夫婦や、パックと呼ばれる群れを作って集団生活します。
狩りをするにも仲間と協力したりすることが多く、単独で生きていくのは簡単ではありません。
しかし、そんな集団生活を行う狼だからこそ、そこから離れたものを「一匹狼」と目立つ存在として捉えたわけです。
実際の狼にも一匹狼が存在
一匹狼は現代では人間に使われることが多いですが、実際の狼にも一匹狼は存在します。
もともとペアの狼は生涯を共にすることが多いですが、そこから生まれた子どもの狼はいずれ大人になると、パックを離れて生活するようになります。
同い年の兄弟や姉妹が同時期に群れを離れる場合は、しばらく一緒に行動することもあるそうですが、原則としては一匹狼になることが多いです。
そして、成長した一匹狼は放浪の末、新しいペアを作ります。
そこでまた新しいパックを作り、子どもを産んで育てるというのが本来の狼のライフサイクルなのです。
中には他のパックに乱入して同性の狼の命を奪い、そのパックごと乗っ取るという一匹狼も存在します。
そのこともあって、狼の群れは一匹狼を警戒し縄張りに入ると攻撃することもあるそうです。
ですから、一匹狼の死因としては、他のパックに襲われることが原因となることが多いとされています。
比喩で人にも充てられた
単独行動をする一匹狼の姿が転じて、孤独を愛したり、孤高を目指したりする人を指す言葉として「一匹狼」という言葉が使われるようになりました。
類義語として「はぐれガラス」や「はぐれザル」など動物を模したものもあります。
一匹狼は集団行動ではなく単独行動をする人を指すのが主で、単に孤立しているというよりは、自分から好んで1人になっている人を指すことが多いです。
ひとりぼっちと言えばネガティブな意味になるのですが、一匹狼は「孤高」といったどちらかと言うとポジティブな表現となります。