新しい企業でも労働法令違反は多い
一般的な企業でも、無意識に労働法令違反をしてしまうケースもある。
「古い体質の会社で、サービス残業なんて当たり前という雰囲気のところもありますが、逆に新しい企業でも労働法令違反は多いです。つい最近まで学生だった方が起業して経営者になった場合、単純に労基法の知識がなかったり、仲間同士で起業して、時間なんて関係なくみんなで働いていたので、新しく入った社員の勤怠管理をまったくしていなかったということもよく聞きます」(同)
労基署に相談が行くのは、このような創業期のメンバーと新たな社員との間での働き方や意識がズレているような会社も多いという。また、近年では社員側も労働時間に対する意識が高くなり、会社に対して適正な賃金を求めるようになってきている傾向があるようだ。
「ネットなどで情報を得て行動する労働者は増えていると思います。『会社が誠意を持って対応してくれない場合は労基署に相談に行きます』など、『労基署』というカードを持って交渉するケースというのは増えている印象ですね。労基署は相談を受けたら動かざるを得ないのですが、指摘を受けた会社は、指摘事項について法令に遵守した形に是正しなくてはいけません。私もいろいろな会社と関わっていますが、労働諸法令に対して100点満点で対応できている会社というのは、それほど多くはないのです。どうしても不備が見つかるので、対応するためには時間とコストがかかってしまいます」(同)