投資信託は資産運用の「柱」

個別の株式投資には、分散投資がむずかしいというデメリットもあります。

分散投資とは、投資先を限定せず、複数の投資先に投資すること。ひとつの株式に集中的に投資してしまうと、その株式の値動きだけで運用資産全体が左右されてしまいます。仮に、その企業が倒産するような事態になれば、全資産を失いかねません。

個別株投資で分散しようと思えば、異なる業種、業態、企業などバランスよく投資する必要があります。

しかし、その場合、各業界や企業の動向、経済の動きなどを日々追って、研究しなければなりません。

また、個別銘柄は比較的価格が高いものが多く、それなりの資金が必要です。本気で分散投資をしようと思えば、少なくとも数百万円はかかるでしょう。

その点、投資信託は、たくさんの株や債券などにバランスよく投資できます。しかも、100円単位で購入できる投資信託もあります。これほど少額でたくさんの銘柄に投資できる金融商品はほかにありません。

投資信託が運用の「柱」だとすれば、個別銘柄は「糸」です。

「糸」はいつ切れてもおかしくありませんが、「柱」であれば少々の衝撃があっても耐えることができます。

FXや不動産投資も初心者にはハードルが高い

同じことは、個別株にかぎらず、ほかの投資手段にもいえます。

債券やFX、ビットコインなどもお金を増やすための「道具」ではありますが、バラエティに富んだ投資ができないという意味で、きわめて扱いがむずかしく、現実的ではありません。

「手っ取り早くお金を増やしたい」
「一発逆転を狙いたい」

そう考える人は、レバレッジがきくFXや値動きの大きいビットコインなどに手を出しがちですが、たいていの人は大ケガを負うことになります。

FXだけに投資していたら、為替の動きに資産が左右されることになります。為替が円高に振れるか円安に振れるかは、専門家でも見極めがむずかしいといわれています。しかも、為替は全世界で売買されていますから、世界中のプロの機関投資家もライバルになります。プロは資産を減らすことは許されませんから、それこそ人生をかけて向き合っています。

そんな弱肉強食の世界で、昨日今日FXを始めた初心者が勝ち続けることは、ほぼ不可能に近いでしょう。ビギナーズラックはあるかもしれませんが、自分の人生を左右するお金を投資する対象としては、現実的ではありません。

なかには、「株よりも投資用不動産を買ったほうがいい」と考える人もいるかもしれません。たしかに、漫然と貯金をしているよりは、建設的な発想かもしれません。

近年は不動産価格が上昇してきたこともあり、投資用マンションを購入して資産を増やしている人もいます。もしかしたら、あなたのまわりにも不動産投資をしている人もいるかもしれません。しかも、不動産は市況にあわせて価格が変動するので、インフレにも対応できるというメリットもあります。

しかし、投資用不動産を購入するには、個別株やFXに投資するよりも格段の覚悟が必要です。

そもそも取引の金額が大きい分、リスクが高くなります。銀行から融資を受ければ、多額の借金を背負うことにもなります。もし購入した物件の空室が続いたり、トラブルが発生したりすれば、資産を失うことにもなりかねません。

また、投資用不動産は海千山千の専門業者もライバルです。通常は資金が豊富で情報網がある業者が優良な物件を先に購入してしまうので、どうしても個人投資家はババを引かされがちです。

投資の素人が、将来的に利益を生み出してくれる物件を見極めることができるでしょうか。やはり、これまで貯金しかしてこなかった個人投資家が、いきなり投資用不動産に手を出すのは無謀と言わざるを得ません。

ちなみに、個人向け国債などの国内債券は元本割れすることがない安定した投資先といえますが、その分、インフレを上回る利回りを得ることができません。貯金とほぼ同じと考えていいでしょう。

投資をするくらいなら持ち家を買ったほうがいい?

「貯金がダメというなら、いっそのことマイホームを買ってしまったほうがいい」と考える人もいることでしょう。

もちろん、ライフスタイルの理想は人それぞれなので、「何よりもマイホームを購入することを優先したい」という人もいるでしょう。

そのように考えている人に対して、「絶対マイホームを買ってはいけません!」などと野暮なことはいうつもりはありません。

しかし、これだけは覚えておいてください。

ローンを組んでマイホームを購入すると、お金のストレスフリーを実現することがきわめてむずかしくなります。

たとえば、1000万円の貯金を頭金にして、4000万円の新築マンションを購入したとします。その際、残りの3000万円を銀行のローンで調達することになります。

住宅ローンはれっきとした借金ですから、何よりも返済が優先されることになります。20年、30年、場合によっては、35年にわたって、毎月返済していかなければなりません。当然、少なくない利子も負担することになります。

毎月ローンを支払っていれば当然、投資にまわす余力が少なくなります。老後資金を貯めたいと思っても、ローン返済に明け暮れるのが現実です。「お金のストレスフリー」を実現するための資金を確保するのもむずかしいでしょう。

もちろん、資産としての不動産は残ります。

しかし、4000万円の新築マンションを購入した時点で、資産としての価値は3500万円ほどに下がることになります。なぜなら、住宅価格には販売会社の販売促進費やスタッフの人件費が乗っかっているからです。

したがって、新築を購入した瞬間、中古住宅としての価値は大きく下がってしまいます。これは、お金持ちが大事にしている等価交換の原則からも外れます。

「お金のストレスフリーを実現する」という観点からいえば、新築のマイホームを購入するよりも、投資信託などに投資するほうが賢明です。

投資信託を毎月一定額購入して、利回り7%で運用すれば、およそ10年で資金は2倍になります。

住宅の頭金にする1000万円の貯金があるなら、投資信託にまわして資産運用したほうが、結果的に豊かな生活になる可能性が高いです。

いまは人生100年時代ですから、十分な資金が貯まってからマイホームを買っても遅くはありません。

あわてて20代、30代のうちに購入しても、20~30年後にはマイホームも古くなり、資産価値が大幅に下がります。将来リフォームも必要になるでしょう。家族構成や働き方も時代とともに変わっていきます。人によっては、ずっと賃貸に住むという選択のほうが正しいのかもしれません。

住宅をどうするかは生き方の問題ですから、絶対的な正解はありません。ただし、マイホーム購入を決める前に、「投資で資産を増やす」という選択肢を検討する価値はあるのではないでしょうか。

以上のような理由から、お金持ちの多くはお金を増やす「道具」として投資信託を選択しています。みなさんも、銀行の貯金を預けかえる場所としてまず検討すべきは、投資信託ということになるのです。

文・田口智隆/提供元・ZUU online library

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