(本記事は、田口智隆氏の著書『おカネは、貯金に頼らずに守りなさい。』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
お金持ちが投資している金融商品とは?
投資信託はお金を増やすための「道具」
お金持ちは、お金を銀行口座ではなく、どこに置いているのか?お金を増やす「道具」として何を使っているのか?
そろそろ答えをあきらかにしましょう。
資産を増やして、「お金のストレスフリー」を実現している人は、貯金ではなく、投資をしています。
もっと具体的にいえば、「投資信託」を買っています。
私自身もそうですし、私のまわりで確実に資産を築いている人の多くは投資信託を中心に資金を運用しているのです。
投資信託とは金融商品の一種で、その名の通り「投資するお金を信じて託す」という性格の商品です。
つまり自分で投資先を選ぶのではなく、プロの投資家に運用してもらうのです。
託す相手は、投資信託の運用会社に所属している「ファンドマネジャー」と呼ばれる投資の専門家です。
投資家から集めてきたお金をひとつの大きな資金にまとめ、それをファンドマネジャーが株式や債券などに投資します。そうして運用して得た利益を投資家に分配する。これが投資信託の基本的なしくみです。
投資信託には、数えきれないほど種類があります。
日本の株式だけに投資している「株式ファンド」、日本と海外の国債だけで運用する「国債ファンド」、ブラジルの株式を中心に運用する「ブラジル株ファンド」などさまざまです。
もちろん、株式と国債がミックスされたファンドもあれば、不動産や金(ゴールド)などを組み込んだ投資信託もあります。
イメージとしては、いろいろな株や債券の入った「福袋」のようなものです。これらの福袋をすべてひっくるめて、「投資信託」と呼んでいるのです。
投資信託の重要なメリットのひとつは、貯金と違って、インフレに負けない程度に資産を増やせる、ということです。
仮に毎年2%ずつ物価が上昇しても、投資信託が2%以上の利回り(投資した金額に対する収益割合を1年当たりの平均に直した数字)を出していれば、資産の価値が減少するのを防ぐことができます。実際、利回り2%以上の投資信託はたくさんあります。
世の中にはお金を増やすための「道具」がたくさん存在しますが、お金持ちは投資信託という福袋を「道具」として活用しているのです。
個別株で資産を増やすのは至難の業
「なぜ個別の株式投資ではなく、投資信託なのか?」
こういう疑問を抱く人もいるかもしれません。
実際、お金持ちの中には、個別株への投資で資産を増やしている人もいます。
個別株とは、基本的には一企業の株式のことをいいます。
たとえば、トヨタ自動車やNTTドコモといった個別の銘柄を購入することです。株への投資というと、この個別株をイメージする人が多いかもしれません。
個別株投資には、投資信託と違って自分でコントロールができるというメリットがあります。自分がお気に入りの企業の株を自分のタイミングで売買できます。
しかし、それは裏を返せば、自分の責任で資金を運用しなければならない、ということです。
当然、個別株は株価が大きく上下します。何か不祥事が起きたり経営環境が変わったりしたとき、株式をそのままもつのか売却するのか、自分で判断しなければなりません。日々、株価だけでなくニュースなどの情報もチェックする必要があります。
たとえば2008年のリーマン・ショックや2020年の新型コロナウイルスによる株の暴落時に、どんな対応をとればよいか、投資家としての判断が求められます。
初心者であれば、日々下落する保有銘柄の株価を見て、パニック状態に陥ることは間違いありません。
毎日、株のことばかり考えていても大丈夫な生活をしているのであれば、臨機応変に対応することができるかもしれませんが、ほとんどの人が昼間は仕事をしています。株の取引をしている時間や余裕はありませんし、逆に株の値動きに気をとられたら、本業がおろそかになってしまいます。
株の初心者が個別株で資金を増やすのは、現実的ではないでしょう。
個別株の取引で資産を増やしている人は、株式投資のプロフェッショナル、もしくはセミプロのような存在です。知識や経験が豊富にあり、投資にかける時間がたっぷりあるから、リスクを避けながら資産を増やすことができます。そういう人は、お金持ちの中でもひと握りです。
株の素人が戦いを挑んでも、かないません。