「あこぎ」の由来
あこぎという言葉は、能の演目が由来となったとされています。
では、どのような物語からこの言葉が使われるようになったのかを解説していきます。
「あこぎ」の由来は能にあり
あこぎの語源は、能の演目にあります。
語源となったのは「阿漕」という題名の演目で、室町時代の能役者である世阿弥が作ったものとされます。
伊勢参りに訪れた人物が、年老いた漁師に「ここがどこか」と訪ねます。
すると阿漕ヶ浦という場所だと教えられました。
話の流れで漁師の話を聞くことになるのですが、その話は阿漕ヶ浦という地名の由来に関するものでした。
昔からこの地は伊勢神宮のお膝元であり、禁漁地であった。
しかし、阿漕という人物は穴場という事で度々密漁を行っていた。
そのため捕らえられ、海に沈められるという罰を受けた。
この逸話から、この地は阿漕ヶ浦となったというものでした。
漁師は最後に、阿漕は罪に苦しみ成仏できていないので弔って欲しいといって姿を消すのでした。
「あこぎ」は実際にある土地
あこぎの由来とされる「阿漕」の舞台となった阿漕ヶ浦。
これは実在する土地です。
現在の三重県津市東部一帯の海岸を指しており、実際にここは伊勢神宮に供える魚を獲る漁場としてかつて殺生禁断の地だったそうです。