「地球の植物じゃないのでは…?」

そう疑いたくなるような奇妙な見た目をした太古の樹木の化石が発見されました。

米コルビー大学(Colby College)によって発掘され、「サンフォルディアカウリス(Sanfordiacaulis)」と名付けられたこの植物は、約3億5000万年前にカナダ東部に生えていた樹木です。

外観はシダやヤシの木に近いですが、驚くべきことに、樹上のわずか数十センチ幅の幹の間に250枚以上の葉っぱがぎゅうぎゅう詰めになって生えていました。

シダやヤシの葉は大体15〜20枚ほどなので、これは異例中の異例。

研究チームは奇跡的に保存されていた葉の化石から、そのありし日の姿を3Dで復元させています。

研究の詳細は2024年2月2日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。

3次元的に保存された葉や幹の化石を発見

研究チームは2017年に、カナダ東部・ニューブランズウィック州にある採石場での発掘作業中に、最初の木の断片化石を発見しました。

年代は約3億5000万年前の石炭紀のものです。

さらにその後の数年間で同じ木の化石標本が4つ見つかったことで、樹木の全体像の復元に成功しています。

奇跡的だったのは、樹木に幹だけでなく葉っぱの化石が保存されていたことです。

太古の植物は一般に、もろくて分解されやすい葉は化石として残りにくいことで知られます。

研究主任のロバート・ガスタルド(Robert Gastaldo)氏も「樹冠上の幹に葉が保存された植物化石を見つけることは異例である」と話しました。

3次元的に保存された幹や葉っぱの化石
3次元的に保存された幹や葉っぱの化石 / Credit: Robert A. Gastaldo et al., Current Biology(2024)

加えて、幹や葉っぱの化石が3次元的に保存されていたことも正確な復元を可能にしています。

ガスタルド氏の説明によると、この地域は当時湖があった場所で、その側に立っていた樹木が地震によって倒木し、泥とともに埋もれ、湖底の堆積物となったことで葉も幹も立体的に保存されるに至ったという。

チームはこの植物を「サンフォルディアカウリス(Sanfordiacaulis)」と命名しています。

そして化石分析から、サンフォルディアカウリスのありし日の姿を復元した結果、地球上のどの植物とも異なる奇妙な姿が立ち現れました。