無意識と向き合って、自分を取り戻す

ーーたしかに旅先で手に入れたモノをみて、場所やその旅行を思い出したりします。

下河内:心理学にもとづいてお話すると、潜在意識と呼ばれる無意識の領域にこれまでの体験やそれに伴う感情が全て記憶されているといわれています。

モノを見ると、潜在意識から記憶が、感情とともによみがえるんです。良い思い出が定着しているモノを見たら、良い気分になるし、嫌な思い出ならば……。

意識していなくても影響は受けています。負の感情はインパクトが強いので、だんだん自己否定や、自己肯定感を下げていく方向に意識が向かいます。

不要な行動やモノを見直していくときに、どんなものを大切にしているのか、自分の価値観がわかってきます。行動やモノから、喜びや嫌な気持ちをどんなときに感じているのかも見えてくるんです。そこから、ポジティブなものを選んでいき、不要なモノや感情を片づけていくことで、自分自身を1つひとつ取り戻すことができます。

ーーそれができれば良いのですが……。難しそうです。

下河内:できますよ。わたし自身、もともとは時間の使い方が上手なタイプではありません。それに、面倒くさいことが大嫌いです。

時短家事コンサルタントとして、「時短をするためには不要なモノをまずは手放すことが大事。まずは『捨て活』に取り組みましょう」とお伝えしております。

「捨て活」では、ご自身と徹底的に向き合って、自己対話をしていただきます。そうすると、取捨選択の能力や決断力が鍛えられます。

「捨て活」に参加される方は、最初のうちは「これ、捨てていいんですか」って質問するんです。「捨てたらダメっていうのは誰ですか」と逆に聞くと「誰もいません」とおっしゃる。捨てられない人の特徴のひとつですね、無意識で思い込みにとらわれています。

最終的に自分のなかにしか、基準はありません。それなのに、自分で決めていいことを「決めてはいけない」とか「怒られるんじゃないか」と感じて思考停止している場合も多いようです。


沖縄でのオンライン朝活メンバー集合写真

まずモノを減らしてお部屋を片づけていく。その過程で自分の大切にしている価値観がハッキリしてくるので、どんどん主体的な行動を選択できるようになって仕事や時間、さらにお金の使い方が上手になって、みなさんポジティブに変わっていきます。

(前編・了)

「金融系OL」として会社勤めを27年間経験されたという下河内さん。就職当時のご自身を振り返って「言われたことはやりますけど……みたいな感じ」だった、とおっしゃいます。

会社員でありながら、複業として時短家事や捨て活のコンサルタントをされた実績から、現在はパラレルキャリア推進委員会の関西支部長をつとめています。続く後編は、下河内さんのご経歴や、複業についてお話をうかがいました。