■「不当に裕福になることはできない」

 この訴えにウォジチョフスキー氏はすでに睾丸を捨てたと主張し、この事件が世に知られることで「屈辱を受けた」と述べ、同じく6500ドルの反訴を起こした。地方判事のジェレミー・ボウイ氏は2月7日、二人の請求を“引き分け”であるとしてどちらも棄却したのだ。

 もちろん冷蔵庫の中であっても睾丸を長期間保管できるわけではないだろう。ウォジチョフスキー氏は判事に対し、2022年7月にすでに腐りはじめていた睾丸を捨てたと語った。

「冷蔵庫の中でそれらが腐っていて、とても不快でした。食べたい食べ物と一緒にそこにあったのです」(ウォジチョフスキー氏)

 ボウイ判事は、睾丸はすでに捨てられていたため、返還を求める彼女の要求を認めることはできないとしながらも、彼女が要求していた6500ドルという数字をどうやって決めたのか疑問を呈した。

「たとえば、時給16ドルで仕事を休んでいたとしたら、その金額を見積もることはできますが、睾丸に関しては、実際には数値を推定することはできません」とボウイ判事は説明する。睾丸は価値を生み出しているわけではないのである。

 さらに「国(地方行政)はその(手術)費用を支払ったが、あなたは支払わなかった。あなたは不当に裕福になることはありません」とボウイ判事はキングスリー氏に説明した。

トランス女性、元恋人の冷蔵庫から自分の睾丸を取り戻す訴えが棄却される
(画像=ウィリアム・ウォジチョフスキー氏(左)、ブリアナ・キングスリー氏(右) 「Daily Star」の記事より,『TOCANA』より 引用)

 これに対してキングスリー氏は次のように答えた。

「それらは私の睾丸でした。私たちは私の睾丸について話しているのです。私はそれらを私の冷蔵庫に入れておきたかったのです。彼のものではありません。彼は私が自分の体の部分にアクセスすることを拒否しました。私はそうしません。それは数値化できると思います。被害はこれらの睾丸の損失でした」

 パートナーシップの多様性が進むにつれ、これまでには考えられなかった種類の意外な人的トラブルや訴訟が今後も持ち上がってくるのかもしれない。交際をはじめた当初の2人はもちろん破局など想定していなかったであろうが、本来の望み通りに今後はそれぞれ幸せになってもらいたいものである。

参考:「Daily Star」、「New York Post」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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