別れた元パートナーの冷蔵庫に保管してあった自分の睾丸を取り返そうと訴えを起こしたトランスジェンダーだったが、裁判所はその訴えを棄却した。いったいどういうことなのか――。

■トランスジェンダーが自分の睾丸の返還請求

 同性婚をはじめ多様な形態のパートナーシップが徐々に認められていく流れにあるが、そこには人間関係ならではのトラブルもじゅうぶんにあり得る。先日、あるトランスジェンダーが元パートナーの家の冷蔵庫に保管してあった自分の睾丸を取り返すための訴えを起こしたが、裁判官によってその訴えが棄却されるケースが起きている。

 米ミシガン州のトランスジェンダー女性、ブリアナ・キングスリー氏(40歳)は、手術で摘出した睾丸を廃棄したとして元恋人、ウィリアム・ウォジチョフスキー氏(37歳)を訴えたが、裁判官によって棄却された。ウォジチョフスキー氏は「屈辱を与えられた」として反訴を起こしたのだが、同様にこの訴えも棄却されたのである。いったい何が起きていたのか。

トランス女性、元恋人の冷蔵庫から自分の睾丸を取り戻す訴えが棄却される
(画像=ブリアナ・キングスリー氏 「Daily Star」の記事より,『TOCANA』より 引用)

 地元紙「Detroit News」によると、2人は2020年4月にFacebookのコミュニティで知り合い、2021年秋にウォジチョフスキー氏が購入した家で同棲をはじめたという。

 同棲期間中の2022年3月、キングスリー氏はヘンリー・フォード病院で睾丸の摘出手術を受けた。手術の費用は2万ドル(約300万円)であったが、キングスリー氏は障害者であるため費用は州が負担したという。

 手術後にキングスリー氏は摘出された自分の睾丸を瓶に入れて冷蔵庫に保管していたと語る。

 2人は見解の相違から2022年12月にパートナー関係を解消し、キングスリー氏は家を出ることになった。何度か自分の所有物を家から持ち出す機会があったのだが、最後に家に行った時にウォジチョースキー氏の妨害に遭い、冷蔵庫に保管されている睾丸を回収することができなかったというのである。

 これを不服としたキングスリー氏は「人骨標本」の即時返還を要求し、6500ドル(約100万円)の損害賠償を要求する訴えを起こしたのだ。

トランス女性、元恋人の冷蔵庫から自分の睾丸を取り戻す訴えが棄却される
(画像=ウィリアム・ウォジチョフスキー氏 「Daily Star」の記事より,『TOCANA』より 引用)