作品を通して伝えたいメッセージは「本当に怖いのは人間」
――とはいえ、ホラー要素があるとなると、苦手な人には少しハードルが高いかもしれません。そういう方に向けて、ホラー映画の楽しみかたを教えていただけないでしょうか。
ナカモト:たとえば、Jホラーを代表する『リング』とかはやっぱり怖いじゃないですか。一方で、洋画のホラーってそんなに怖い作品はないんですよ。多少流血シーンがあったりしますけど、ジャンル的にもサスペンスとかアクションに近いようなものが多くて。
でっかい音でビビらせるような演出はあるけど、たとえば殺人鬼が追いかけてくるだけの物語ってそんなに怖いものでもないので。 今回の映画みたいなホラーコメディから入っていって、徐々に慣れていくというのもアリだと思います。
――ナカモト監督といえば、過去に『悪魔のいけにえ』や『死霊のはらわた』をモデルにした作品を撮られていますが、今回の作品も海外ホラーの影響を受けているのでしょうか?
ナカモト:”ホラーコメディ”っていうジャンル自体、日本にはあまり浸透していないんですけど、海外ではよくあるカテゴリーなんですよね。そういう作品に影響を受けてきたので、海外ホラーの要素は取り入れつつ、今回の”ヤンキーVS口裂け女”って日本ならではテーマなので、テロップの出し方やエンドロールといった細かい編集方法は、80年代後半〜90年代の邦画作品を参考にしました。

――登場人物の悪意の描き方も繊細で、ゾッとするものがあるなぁというのを感じました。編集方法以外にも、そういった細かい部分にも相当気を配られたんじゃないかなと。
ナカモト:そうですね。都市伝説が怖いというのは当たり前なんですけど、「本当に怖いのは人間だよ」っていうのが本作のメッセージでもあるので、人怖的な部分は外せなくて。ただ、あまり大袈裟にしても作品のバランスが崩れちゃうので、誰もが共感できる「この空気感やだな」とか「こういう人嫌いだな」っていうのを描くことで伝わればいいかなというのは、実は計算して脚本を書きました。
予測不能! 次々と巻き起こる展開に釘付けになること必至
――最後に、ナカモト監督からトカナ読者へ、本作の見どころ紹介をお願いします。
ナカモト:これがね、難しいんですよね。高校生のヤンキー3人組がいまして、彼らがある日盗んだバイクの持ち主は口裂け女だった。口裂け女に追いかけ回されて、映画が始まってたった16分で、主人公たちはヤバい! もう絶対絶命! っていう状況に追い込まれちゃうんです。
そこからまだまだ展開があるんですけど、はたして3人は一体どうなるのか? どこに着地するんだろう? っていうのをハラハラしながら楽しんでもらえたらと思います。
ジャンルミックスを意識したので、僕としては、一本の作品の中でカテゴリーがコロコロ変わっていくなか、振り回されながらガンガン進む展開を楽しんでいただけたら嬉しいです。なので、できるだけ前情報を入れずに見てほしいですね。
――ありがとうございます! 今回、いろいろと質問させていただいたのですが『ターミネーター2』がいちばんお好きって意外でした。
ナカモト:こういうときにマニアックな映画のタイトルとか言えたらいいんでしょうけど、本当好きなのがそういう映画なので。やっぱり僕はエンタメ映画が好きなんです。
――今回の作品もだいぶポップな作風ですよね。
ナカモト:もともとエンタメジャンル映画が好きだったので、自主映画を撮っていた頃からずっとこういう作品を撮ってきました。自主映画の映画祭って、真面目な人間ドラマを主題にした作品が多いんですけど、僕はカンフーとか改造人間とか、そういうのばかりテーマにしてきたので(笑)。今作が初の長編の劇場公開作品でもあるので、今まで培ってきた技術や経験をすべて活かしたものを作ってみたかったんです。
――エンタテイメントとして振り切るというのが、ナカモト監督のスタイルということですね。
ナカモト:僕はそうですね。好きな映画はたくさんあるけど、自分が撮るなら、ちょっとカラッとしたポップで楽しい娯楽作品を撮りたいです。これからも、そういった作品を皆様にお届けできるように頑張ろうと思っています!

『先生!口裂け女です!』
2023年7月7日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他 全国ロードショー
監督・脚本・編集:ナカモトユウ
出演:木戸大聖/黒崎レイナ/上野凱/里々佳/和田雅成/六平直政/大迫茂生/屋敷紘子 他
制作プロダクション:シャイカー/製作:REMOW/配給:エクストリーム
2023年/日本/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/DCP/PG12/84分 ©️2023REMOW
■ナカモトユウ
『一文字拳 序章-最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』(18)でぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2018観客賞、カナザワ映画祭2018期待の新人監督グランプリを受賞して注目され、オムニバス作品『DIVOC-12』(21)の1エピソード「死霊軍団 怒りのDIY」など、ジャパニーズ・エンタテインメントの新鋭として精力的に活動している。
文=浅香麻亜弥(トカナ編集部)
提供元・TOCANA
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