前回のレポートで報告した通り、チリに到着早々、ロストバゲージ被害に遭ってしまった私。4日後にテムコの空港でスーツケースを受け取り、そのままチリの首都サンティアゴに移動しました。ここでの滞在は2泊3日で、ゆっくりと観光できる日は実質1日のみ。観光スポットはいろいろありますが、今回は初チリだったこともあり、この国のカルチャーを知るために、博物館巡りをしてきましたので、その報告をしたいと思います。
チリ文化とは
例えばブラジルだとサッカー、カーニバル、アマゾンなど、一言でその国の特徴が言えたりします。ステレオタイプとは言え、その国のイメージがよく表れています。ではチリはどうでしょう?すぐに思いつくのはワインですが、せいぜいこれぐらいで、他にはとっさに出てきません。隣国ブラジルに住んでいるとはいえ、ほとんどチリのニュースは入ってこないし、両国間でさほど文化交流があるわけではないので、何も知りません。そこでチリをもう少し知るために、今回はサンティアゴにある博物館を回って、「お勉強」をしてきました。
結論として学んだことは、文化の多様性。この国にはスペイン系ヨーロッパ人だけではなく、アイマラ族やマプチェ族などの先住民族が10グループもおり、実はとても多様なのです。近代化された都会のサンティアゴを観光するだけでは、それは見えて来ませんし、どちらかと言えば町並みは画一的で、他国の都市と別条変わりありません。でも実は、南米大陸の端を縦に長く占め、北には砂漠、南にはパタゴニアがある国。文化が多様でないわけがない、ということを改めて認識しました。

チリ・プレコロンビア芸術博物館
最初に訪れたのが、セントロ地区にあるチリ・プレコロンビア芸術博物館(Museo Chileno de Arte Precolombino)です。ここは中南米大陸の先コロンブス期の文明、つまりコロンブスがアメリカ大陸に到達する以前の先住民文明を知ることができる博物館なのです。
常設展では中南米で起こった文明がエリアごとに分けられており、各文明の土器、偶像、織物などが展示されています。博物館の所蔵コレクションはなんと1万点にも及ぶそうなのですが、展示されているのは約1,200点。1点、1点が美しかったり、可愛かったり、恐ろしかったりと見ごたえたっぷりです。また各美術品がどういう目的で使用されていたのかも詳しく説明されており、かなり学べます。


この他、企画展とチリに特化した先住民の文化を扱う展示室もあります。
私が訪れた時に開催されていた企画展が「シャーマニズム」。中南米各地のシャーマン文化について非常に詳しく紹介されており、すごく内容が濃い展示でした。
「今のチリになる以前のチリ」というタイトルのチリ文化の常設展も、また非常に良く構成されています。そこにはインカ帝国の末裔アイマラ族やマプチェ族、ラパ・ヌイ(イースター島)などの文化が詳しく紹介されていて、とても興味深い。
ゆっくり、しっかり見ようと思えば、楽に3時間を超えてしまいそうな、かなり内容の濃い博物館です。中南米の古代文明や先住民文化に興味がある方は絶対楽しめます。お薦めです。
チリ・プレコロンビア芸術博物館(Museo Chileno de Arte Precolombino)
- 住所:Bandera 361, Santiago
- 地下鉄最寄り駅:チリ大学駅(Universidad de Chile)
- 開館時間:火~日 10:00~18:00
- 閉館日:月
- 入館料:外国人観光客10,000ペソ・チレノ