①ジェイソン・ハディガン
最初に挙げたいのは、オンラインではなく、実店舗のブックメーカーを相手にした詐欺行為のケースです。イギリスのジェイソン・ハディガンは、全国規模で複数のブックメーカーに対して不正をはたらいた犯行グループの一人として2014年に逮捕されており、イングランドとウェールズの全てのブックメーカーの店舗から出入り禁止になりました。その時の経験を『How And Why I Conned The Bookies(原題:私がブックメーカーを騙した方法と理由)』に著したことでも知られています。
その5年後の2019年5月、ハディガンはウェールズのアマンフォードという街に車で向かい、出入り禁止となっているはずのブックメーカーの店舗に足を踏み入れます。その日、ハディガンは店舗のスタッフと話をして信頼を得ることでレジスタッフを味方につけ、その後ブックメーカー店舗の仕組みや使われている設備などを知った上で、賭けた試合の結果が出た後のタイミングで、巧妙なテクニックを用いてスリップを入れ替えたとのこと。
この手口は、2012年~13年の間にハディガンがメンバーだった詐欺グループが、コーンウォール地方の30を超えるブックメーカー店舗で使ったのと同じものでした。ハディガンはこの店舗で1613ポンドの「賞金」を勝ち取ることに成功したものの、店舗には1000ポンドの現金しかなく、翌日に残金を受け取るために戻ってくると言い残してその場を後にし、さらに別のブックメーカーの店舗で1780ポンドを手にしました。裁判所によると、監視カメラの映像と英ブックメーカー協会のメンバーによって身元がバレ、14カ月の懲役を言い渡されたそうです。