太陽系の謎の第9惑星“プラネットX”、またの名を“ニビル”はいつの日か地球に衝突して人類を滅亡させるのだろうか――。プラネットXをめぐる“陰謀論”はどのようにして形成されたのか、今一度振り返ってみたい。

太陽系の9番目の惑星“プラネットX”とは?

 2017年9月23日、“プラネットX”が地球に衝突して人類は滅亡する──。

 かつて「9月23日地球滅亡説」が世を騒がせた際、NASA(アメリカ航空宇宙局)が火消しを図るという前代未聞の事態さえ起こった。もちろんプラネットXは地球に衝突しなかったどころかその姿さえ見せずにこの日は過ぎ去ったのだが、そもそもこの“予言”はいったいどこから来たのか。

 まずはプラネットXという概念がどこから出てきたものなのかを検証してみると、パーシヴァル・ローウェル(1855-1916)という天文学者に行き着く。

 米ボストンの大富豪ローウェル家の息子として生まれたパーシヴァル・ローウェルはハーバード大学で物理や数学を学んだ後、いったんは実業家になるが、火星への興味が高じて天文学者に転身する。

 私財を投じてローウェル天文台を建設し、望遠鏡のレンズを通して研究に打ち込む一方で彼は数多くの仮説を主張し、その1つは彼が“プラネットX”と呼んだ太陽系の9番目の惑星の存在であった。

プラネットX(ニビル)陰謀論の現在 — 新天文台完成で数年以内に発見も!?
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

ローウェルは惑星を見たことがなかったがその存在を確信し、1916年に亡くなった後もプラネットXの位置を突き止める研究への資金として後進に100万ドルを残した。

 ローウェルの志を継いだ天文学者たちは9番目の惑星の探索を続け、1930年に発見された冥王星がプラネットXではないかと考えたが、後に冥王星は準惑星であることが判明した。

 その後残念ながらの天文学者らがプラネットXは存在せず、探索は無駄だったと結論付けて1989年にプロジェクトは終了した。

 しかし1992年に2人の天文学者が海王星軌道の外側に天体が密集した円盤状の領域である「カイパーベルト」を発見し、3つの準惑星(セドナ、クオアール、エリス)を発見した後、プラネットXの探索が再検討された。太陽系の外に地球の5倍から10倍の大きさの惑星が存在する可能性が浮上してきたのだ。

 カリフォルニア工科大学の2人の惑星科学者、マイク・ブラウンとコンスタンチン・バティギンは太陽系にほかにも巨大な惑星が存在することを示唆する論文を共同執筆し、プラネットXが存在する可能性の望みを繋いだ。

 良いニュースは、現在チリのセロ・パチョンに建設中の大型シノプティック・サーベイ望遠鏡である「ベラ・ルービン天文台」が今後数年以内に稼働することであるという。運用が開始されればおそらくプラネットXが特定されるということだ。

プラネットX(ニビル)陰謀論の現在 — 新天文台完成で数年以内に発見も!?
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)