RVだけでなく3ナンバーセダンでも気を吐いた三菱絶頂期
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今や先進的なプラグインHV式のSUVと、最新のデリカミニの販売好調が象徴的な「デリカ」ブランドで細々と食っている感のある国内市場の三菱ですが、1990年代はまだ元気いっぱいのフルラインナップメーカーでした。
そりゃトヨタほどの規模はないけども、高級セダンやスポーツカーから大衆車、軽自動車、トラック、バスまでなんでもござれ、もちろん売りのパジェロは大ヒット。
RVブームで斜陽化が進むセダンでも、税制改正にいち早く対応して大型FFサルーンのディアマンテを発売、「3ナンバーブーム」を牽引しました。
MOBY編集部が試行中のAI(人工知能)もそのへんに目をつけたようで、今回はそのご指名、三菱 ディアマンテを振り返ります。
フラッグシップより立派な和製BMWの初代(1990年)
1980年代まで三菱の最高級セダンといえばデボネアであり、1990年には2代目デボネアVが販売されていたものの、開発のタイミングがちょっと早すぎて3ナンバーボディは得られず、廉価版の2リッター車に合わせた5ナンバー枠のナローボディが基本でした。
しかし、デボネアVの開発にあたっては、提携していたクライスラー向けワールドエンジンとして新型の2〜3リッター級V6エンジン、6G7シリーズを開発できたのが三菱にとっての幸いです。
このエンジンを使えば、従来は直4止まりだった車種にもV6エンジンを積み、高級感や高性能をアピールできますがさらに1985年頃から税制改正(※)の機運が本格的に高まり、バブル景気の経済好調を背景に、1988年12月には「消費税法」が成立しました。
(※構想当初は「大型間接税」などと呼ばれていた)
自動車にとっては物品税を廃止して消費税に統一、そして贅沢品とされて多額だった大排気量車の自動車税がグッと安くなったほか、課税方式も排気量のみとなって3ナンバーボディだから多額の税金を払う必要もなくなります。
三菱にとってはまさに好機到来!デボネアVはとりあえず棚に上げ、3ナンバーワイドボディへ2〜3L級V6エンジンを積んだ数種のクルマを開発。
同じプラットフォームで、ハードトップでは都合の悪い海外向けメインの4ドアセダンが「シグマ」、クライスラーにも供給する2ドア大型スポーツカーを「GTO」として、日本でウケがよいスポーティな4ドアハードトップサルーンを「ディアマンテ」としました。
1990年5月に発売されたディアマンテは、「5ナンバー縛りから解放された、新世代の3ナンバー高級セダン」としてたちまち大人気!
逆スラントノーズは和製BMWのようでスポーティですし、当時まだFR高級セダンにはなかった4WD車も設定され、「FFなんて安い大衆車」というイメージも吹き飛ばし、そして何より「3ナンバー」が立派に見えて、誇らしげでした。
同時期に3ナンバー車を追加した他車と違って完全な新型車であり、「3ナンバーにすれば売れる、3ナンバーブーム」の牽引役でもあって、日本で最後に大ヒットした4ドアサルーンと言えるかもしれません。