長い目で見れば顧客側が多額の手数料を取られ損という例も
大手証券会社OBはいう。
「10年くらい前までは、とにかく個人のノルマがきつく、達成できなければ上司から詰められるというのは、どの証券会社でも同じだった。支店の営業担当者はみな、土地持ちや中小企業のオーナー、資産家などの太い客をつかんで、いかに株や投資信託などの商品を頻繁に売買させて手数料を積み上げるのかに必死になっていた。会社から『この商品をこれだけ売れ』という目標が課されるので、顧客がそれを買って儲けるか損するのかは二の次で電話をかけたりして売り込んでいた。ボーナスは各期の成績によって大きく変動するので、上客をつかめば20代後半で年収1000~2000万円になることも珍しくなく、向いている人には良い職業だといえる」
「大手証券各社がノルマ営業をやめたから収益力が落ちてきているといわれるが、単純に顧客側が賢くなって『証券会社から言われるがままにやっていたら損する』『ネット証券のほうが稼げる』ことに気づいてしまったという要因が大きい。かつてはお金に余裕がある層が証券会社の営業担当者の営業トークに基づいて株を売ったり買ったりというのが一般的で、顧客本人は得している気になっていても、10~20年の長いたタームでみれば事実上の回転売買をさせられて多額の手数料を取られ損しているというケースがざらだった。2000年代に入り、既存大手に比べて手数料が数分の一のネット証券が徐々に台頭し、投資家サイドも『ネット証券に口座をつくり、自分でしっかり勉強して自分の判断で売り買いするほうがよい』と気が付いた。特に30~50代は、電話や対面でダイレクトに営業をかけられることを嫌がる傾向が強い。既存大手の証券会社がノルマ営業をやめたのは、単純に従来の手法が通用しなくなったというだけ。顧客に有益な提案をできない営業担当者は不必要になったということで、業界全体でみれば健全化が進んでいるといえる」(メガバンク行員)
証券業界に押し寄せている変化は大きいようだ。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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