新ジャンル車でバギーを作るのは自動車メーカーの定番?
従来の概念を覆すような自動車が登場すると、その可能性を追求すべく、あるいは「いかにこれまでのイメージにとらわれない製品を実現すべく」などの理由で、ゲテモノじみた珍車を作ることがよくあるのですが、開放的なバギースタイルもゲテモノの定番。
最近だとシトロエンが電動クワドリシクル(超小型車)のアミでバギー車を限定販売しましたし、日本でもEVミニカー「コムス」の中古車をベースにしたバギー仕様が、東京オートサロン2022でお披露目されています。
画期的な2シーターマイクロカーとして誕生した初代「スマート」でも、「クロスブレード」を限定販売、オフロードやクロスオーバーというより、昔のミニ・モークみたいに陽気なビーチバギー風と考えた方がいいクルマですが、面白い乗り物ではありました。
初代スマートフォーツーの開放的すぎる「クロスブレード」
こんなグダグダのゴタゴタがあったおかげで、気がついたらメルセデス・ベンツグループの実験用ブランドみたいな扱いになって、元々のコンセプトを考えた人は誰もいなくなったという、1998年に発売されるまで紆余屈折を経まくった「スマート」。
その代表的なモデルで、当初はブランド名だけで呼ばれ、後にバリエーションが増えると「フォーツー(For Two)」を追加された2シーターマイクロカーは、かなり奇怪な存在でした。
ヨーロッパでは昔からサイクルカー、クワドリシクルなどという名で存在するマイクロカーながら、従来からのモデルと違って6速セミATと組み合わせた598ccターボをリアに積んで高速走行も可能な、全長が極端に短い2シーターモデル。
日本なら「4人乗れる軽自動車でいいじゃん」となりますし、実際スズキが2人乗りの「ツイン」(2003年)は、チープな割に快適装備を揃えるとアルトより高い事もあって、全然サッパリまるっきり売れません。
しかし、当初宣伝された「スウォッチカー」というコンセプトやブランドイメージ、海外のデザインはハイカラに見えてしまう民族的なクセもあってか、日本ではいつの間にか、意識高い系向けマイクロカーとして定着した時期もありました。
それでも2002年に2,000台限定で「スマート クロスブレード」が発売され、日本にも輸入されるとわかった時は、ギョッとしたものです。
だって、屋根もドアもない4輪シティコミューターなんて、雨や雪が降りまくる日本でどう使ったらいいのか、かなり困惑しますもの。