一年中釣れて、食味も抜群。東京湾の小物釣りの中でもダントツ人気ターゲットのアジ。二年ほど前からSNSなどで「今まで以上にアタリが出て数が釣れる」という新釣法が話題となっている。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・奥野忠弘)

東京湾LTアジ釣り攻略の新潮流『ライン引き釣法』ってどんな釣り方?

新釣法「ライン引き」とは

アジの釣り方は、「仕掛けを底まで落とし、ビシを底から1mまで上げて数回まきエサを振り、そこからさらに1m巻き上げてもう一度まきエサを振ってタナにセット。そのまきエサの煙幕の中でアジが付けエサに食いつくのをしばらく待つ……」という釣り方が基本とされてきた。

東京湾LTアジ釣り攻略の新潮流『ライン引き釣法』ってどんな釣り方?釣りフェスでのライン引きセミナー(提供:週刊つりニュース関東版APC・奥野忠弘)

しかし今回紹介する新釣法は、「ライン引き釣法」や「食い芯理論」という名前で、毎回200~300尾というケタ違いの釣果を叩き出している工藤俊さんと、その釣友の大西了路さん、高槻慧さんが提唱し、勧めている新釣法だ。私は、この釣りを学ぶため、以前仕立船での勉強会にも参加させてもらい、先日開催された「釣りフェスティバル2024」でのセミナーでも、直接話を聞く機会を得たので、再度読者のみなさんに紹介させてほしい。

点ではなく線状にまきエサを撒く

大西さんにこの理論の基本的な考えを聞くと……「そもそもライン引きとは、従来のセオリーでいえば、決まったタナで撒いたまきエサは、その場のみに撒かれ雲のように流れて広がっていく感じ。しかし、まきエサを点で撒くのではなく、ロッドの適度な弾力を使ったスウィープなシャクリで、線を引くようにまきエサを撒き、さらにこれによりでき上がったライン状の煙幕の中を仕掛けを通すイメージで操作すること。これが工藤氏が考えるライン引きです」

もっとも濃い煙幕に付けエサを同調

さらに「ここで重要なことは、まきエサの煙幕は撒いた瞬間がもっとも濃く、アジはこの濃い煙幕目掛けて、より高い密度で寄るということ。そして撒いたあとの煙幕は、時間経過とともにどんどん拡散して薄くなる。なので、まきエサを撒いた直後こそがアジにスイッチが入る瞬間であり、ここに仕掛けを素早く同調させればアタリの出るタイミングは必然的に速くなる、と言うわけです」

東京湾LTアジ釣り攻略の新潮流『ライン引き釣法』ってどんな釣り方?名手三人と記念撮影(提供:週刊つりニュース関東版APC・奥野忠弘)

「これを最も効率よく行える具体的な方法論がライン引きなのです。点で撒いたまきエサに一瞬でピタリと付けエサを入れるのと、ラインを引いた中をスーっと通してくるのと、どちらが再現性が高いか?言うまでもないと思います。そのために、シャクリ速度と幅、ステイ時間の操作、天ビンのチューニングや使い分けで調整し、なるべく速くアタリを出すようする。ここまでできれば、この釣法のイメージはほぼ完成と言っていいでしょう」