■医学的にカプ・ドワの存在は不可能ではない

 どちらのストーリーでも最終的には見世物となり、それが本物であると信じる者もいれば、手の込んだでっちあげだと確信する者もいる。この双頭の巨人が実在した可能性を検証するとどのようなケースが考えられるのか。

 ミイラのカプ・ドワの身長は約3.7メートルで、この身長に匹敵する人間が存在した記録は残されてはいないものの、人間がその身長に達する可能性はゼロではないという。

双頭の巨人の物語:パタゴニアのカプ・ドワの伝説は本当なのか?
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 人類史上、最も背の高い人物はロバート・ワドロー(1918-1940)で、22歳で突然亡くなったとき、身長は272センチであったが、その時点でまだ成長を続けていたのである。つまりその後も長く生きていればさらに身長が高くなっていたはずなのだ。とすれば身長が3メートルを超えてさらに成長する可能性はゼロというわけではないことになる。

 一方で“双頭”については、これまでにも複数の頭を持つ人や動物が確認されている。

 結合双生児の1形態である「双頭性パラパガス(dicephalic parapagus)」と呼ばれる状態では、双子は1つの身体と2つの頭を持った外観をしている。

 最も有名な双頭性パラパガスのケース、イタリア人のジャコモとジョバンニ・バティスタトッチ兄弟(1877–1940)と、米ミネソタ州出身のアメリカ人、アビーとブリタニー・ヘンゼル姉妹(1990-現在)である。双頭性パラパガス双生児の多くは幼少期に命を落とすが、成人期を越えて存命するケースもないわけではない。

 医学的にカプ・ドワが本物であるためには、この巨人症と双頭性パラパガスという2つの症状が同時に発現したことが想定されてくる。きわめて稀なことになるが可能性はゼロではない。しかし成人期まで生き延びられたのか、船員たちと小競り合いをするほどの運動能力があったのかについては大いな疑問になってくるということだ。

双頭の巨人の物語:パタゴニアのカプ・ドワの伝説は本当なのか?
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 カプ・ドワが現実に存在していた可能性はあるものの、見世物になっていたことからくる疑惑は拭い去れないという。

 カプ・ドワのミイラは19世紀の詐欺師的な興行師と見なされているP・T・バーナム(1810-1891)の手に渡っていたこともまた疑惑を深める一因となっている。たとえばバーナムの見世物の1つであった「人魚のミイラ」はその後に精巧な工作物であったことが判明している。

 これまでカプ・ドワのミイラは何度か専門家によって調べられてはいるのだが、綿密な成分分析などは行われていないようだ。最先端のツールを用いた科学的分析が行われるまでは今しばらくカプ・ドワはユニークな巨人伝説のアイコンであり続けるのだろう。

参考:「Ancient Origins」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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