アラブ社会の文化への理解度を重視しながら古い偏見を打破へ

いずれのサービスもテキストメッセージやチャット、音声通話、ビデオ会議などでカウンセリングを提供するものだ。正式な資格を有する登録セラピストやカウンセラー、複数の言語対応、匿名状態での面談、AI活用などを共通の特徴とする。各社ともMENAに残るメンタルイルネスへの偏見の打破を使命に掲げ、意識向上のためのコンテンツ制作やキャンペーンなどで政府の関連省庁や同業企業と協力している。

アラブ社会の文化的背景に対する理解を重視する姿勢も各社に共通する点だ。Sukooni社の創業者であるAli Owainati氏は、パンデミック中に欧米のカウンセラーからセラピーを受けた友人たちが文化への理解がないと嘆いたことからヒントを得たと語っている。保守的なアラブ社会では女性への抑圧が強いことから、ユーザーには女性が多い。一方で、男性は「男らしさ」の抑圧があるため積極的に助けを求めにくいという。世代間格差もあり、若い世代は少しずつ偏見から解放されつつある一方、上の世代はタブー意識がぬぐい切れないようだ。

ちなみにパンデミックはこの分野にとっては追い風としてはたらいた。外出自粛でテレヘルスが浸透したうえ、メンタルの不調を覚える人の増加により需要が伸び、ユーザーベースの拡大につながったのだ。また、パンデミックを機にメンタルヘルスに対する意識が変わりはじめ、以前よりオープンに議論されるようになったという。各国政府もメンタルヘルスの重要性に気づき、動き始めている。

多数の競合他社でにぎわうこの分野に新規参入するSukooni社。UAEの基準だけでなく米国のHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability)やEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)などへの対応を視野に入れている。セキュリティを強化することで、ユーザーとカウンセラー双方にプライバシーが確実に守られる環境を提供したいと語っている。果たして他社との差別化に成功するだろうか。

引用元:Shezlong
Labayh
Ayadi
Takalam
Sukooni

(文・Techable編集部)