『ロッキー』オーディションでスタローンに言葉のジャブ

『ロッキー』への出演は、オーディションで脚本・主演のシルベスター・スタローンを侮辱したことが却って功を奏したのだという。

ウェザースさんは、2015年のハリウッド・レポーターのインタビューで、「脚本家(スタローン)と一緒に台本を読むように言われた」と笑いながら話し、「シーンを読み終えたとき、本当にうまく進んだと思えなかったんだ。周りは沈黙していて、気まずい空気を感じた」と説明。「だから、本当の役者と一緒だったらもっと良い演技ができるって口走ってしまったんだ」と明かした。

スタローンは、ウェザーズさんの話ぶりがいかにもアポロが言いそうだと感じたようだったという。

「つまり、そうとは知らず、意図せずに映画の主演俳優を侮辱してしまったんだ」と続け、「時には間違いが仕事をもたらすこともある」と加えた。

第一作のクライマックスで、世界チャンピオンのアポロは無名のロッキーと死闘を繰り広げる。

ウェザーズさんは演技について、ノックダウンされても立ち上がるロッキーに「なんだこれは、こいつは一体どうしたんだ?といったような表情を見せるんだ」と振り返りながら、「私にとってチャレンジだったのは、脚本に書ける動きだけではなく、言葉では語りきれないこの戦いと二人の男に宿る力を、いかに伝えるかだった」と語った。

インタビューでは『ロッキー4/炎の友情』にも言及した。アポロは同作で、ドルフ・ラングレン演じるロシア人選手ドラゴに倒され、死亡する。

「アポロ・クリードが戦いの後に地面で痙攣する時だ。アポロを失うなら、本当の喪失を感じなければならない。撮影スタッフは私が本当に打たれたと思ったようだ」と回想。「アポロ・クリードの人生を締めくくるのに、完璧にはまった。最初は冗談半分にやってやろうと来た男。…そして最後には、もう逝ってしまったが、闘志が宿っていて、まだ動こうとする筋肉の記憶があり、それがなくなっていく」と演技を振り返った。

シルベスター・スタローンは2日、インスタグラムに投稿した動画で、伝説の映画を共に作り上げた友人の死を悼んだ。

ロッキーとアポロが戦う絵画を背景にしながら「今日は信じられないほど悲しい日だ」とファンに報告。「心が乱れて、言葉にすることすらできない。感情を抑えようとしている。カール・ウェザースは私の人生と成功、すべてにおいて不可欠な存在だったから」と語った。

映画『ロッキー』で初めて出会った頃について「彼が部屋に入ってきて初めて会った時、偉大さを目にしたが、これほど偉大だったとは理解していなかった」と振り返り、「ロッキーで成し遂げたことは、彼なくしては決してなかった。彼は本当にすばらしかった。声、体格、パワー、身体能力、しかし最も重要だったのは彼のハートとソウルだ」と語った。