令和6年度予算案は、「変化する社会情勢の中、東京・日本の輝かしい未来を切り開くため、産業や経済、社会の構造転換に挑み、一人ひとりが輝く明るい『未来の東京』を実現する予算」と位置付けられています。

都税収は、前年度に比べて1,855億円、3.0%増の6兆3,865億円となり、予算規模は全会計あわせて、前年度対比3%増の16兆5,584億円、一般会計予算は、5.1%増の8兆4,530億円、新規事業741件、約2,900億円も含め5年連続過去最大予算となりました。

小池百合子 東京都知事 小池氏HPより

税収アップしても貯金は増えず借金は減らぬ放漫経営

本年正月早々1月1日、能登半島地震が発生、消防庁、警視庁による人命救助、水道局による給水車の派遣、DMAT、DPATによる医療提供支援等都は被災地支援を実施しました。能登地震被害額は2.6兆円と内閣府が試算し東日本大震災16.9兆円、阪神大震災9.9兆円、熊本地震4.6兆円、新潟県中越地震3兆円に次ぐ当初想定より被害がより深刻甚大であることが判明してきています。

どの震災においても、都は支援策を講じ経験値があるはずで、今般「TOKYO強靭化プロジェクト」をアップグレードするとしていますが、100兆円規模の被害額が想定される首都直下型地震対策に備え都財政をこそ「強靭化」するために、無駄な支出をダウングレードすべきではないでしょうか。

かねてより申し上げておりますが、税収が堅調である時にこそ災害対策は勿論のこと約束された未来である超少子高齢化にそなえて、均衡財政を徹底が求められます。

にもかかわらず、本予算においては所謂「借金」である都債は前年度対比218億円、7.5%増の3,127億円計上、都債残高は4兆7,324円で前年に比べ48億円減で起債依存度は3.7%で国や地方より低い水準だとしていますが、区議時代再三再四に渡り、区債残高を減らすように求め現在江戸川区の実質公債費比率は-5.7%でありますが、都は1.2%です。

2013年都議に当選し、同様に指摘し、翌年2014年から残高は激減したものの、その後増加傾向が読み取れます。

一方の「貯金」である財政調整基金は、令和元年度末時点で約1兆円(9300億)あったものの令和5年末6,001億円となりこちらは減少傾向にあり、コロナ禍も一つの要因ではありますが小池都政となり、近年税収が堅調に伸びているというのに借金が増えて貯金が減る財政状況になっているということは、企業でいえば社員(都民)が真面目に働いて売り上げ(税収)を挙げているというのに、放漫経営で利益を出せない経営者ということであり、民間であらば、株主総会で罷免もされかねません。まさにその株主総会に当たるのが本年7月に迫った東京都知事選挙です。

庶民生活に寄与しない外資支援・再エネ推進、ヨコモジ事業に喝!

こうしたことへの配慮は熱心な小池知事を注意深く長年定点観測していましたが、これまで子育て世帯には018サポート、困窮世帯・高齢者にはお米クーポンと選挙を意識したバラマキともとられかねぬ事業を令和5年度から開始しております。

ことに、本来令和6年度予算を公表する令和6年1月にすべきであるにもかかわらず、都の元幹部職が立候補した令和5年12月の江東区長選挙の真っ最中に私立高等学校の所得制限なしの助成事業について突如として公表し、大々的にメディアに報じさせたことには、まさに小池知事3期目にむけたバラマキ宣言の象徴と都民は受け止めたと思料いたします。

各事業においても、毎年のことではありますが、にわかに都民生活に寄与するとは思えない事業が散見されます。

「世界経済をけん引する都市の実現」(247億円)とし、スタートアップ戦略の加速化をするとして、目玉事業のTokyo Innovation Base事業(24億円)なども結果的に民間企業が動かすわけですから都が関わる必要性を感じません。

関連したSushi Tech Tokyoについても、世界共通の年課題解決に向け東京初のイノベーションを創出するとともに未来の都市モデルを発信するというも、何を目的にしてどのような効果を見込んでいるのか理解ができません。

今更、国際金融都市に東京をする必要もなければ、その可能性も低いというのに外国人企業支援策に55億円、「再生可能エネルギー等の拡充」に1,970億円もの予算が計上されています。

能登半島地震においては、家屋倒壊で落下した太陽光パネルについて感電と消火の危険性につき異例の注意喚起を出したというのに、再考することもなく、太陽光住宅普及事業等に696億円、物価高騰に苦しみ、インボイス導入で経営も混乱しているところに中小企業へも脱炭素対策を強いて12億も投入することは、弊害こそなれ都民益にはつながらないのではないでしょうか。