■2001年から急速に勢力を拡大
一方でFBIは別の視点からサンタ・ムエルテを注視しているという。同団体は「個人の利益を何よりも重視する邪悪な価値観を持っている」と、2000年代半ばにFBIは言及している。
さらに同団体は「他人の意図的な痛みや苦痛を助長し、さらには殺人を快楽的な行為とみなす」ことに関与していると述べた。
2009年、急速に拡大するこのカルトは犯罪と密接に絡み合っていると見られ、当時のメキシコ大統領、フェリペ・カルデロンが軍にヌエボ・ラレド市の30の礼拝所をブルドーザーで破壊するよう命じている。
年を追うごとにますます危険視されているこのサンタ・ムエルテの源流はどこにあるのか。
一説では公にされることなくこの“死の聖母”は100年ほど前から信者たちの間で密かに信奉されてきたということだが、2001年にカリスマ的指導者であるエンリケタ・ロメロが等身大の聖母像を制作して礼拝所の祭壇に奉ったことで世の注目を集め、信者数の増加に繋がったといわれている。現在ではメキシコのほかにもアメリカや中央アメリカの一部にも信者がいるということだ。

“死の聖母”の像は、メキシコの麻薬売人やスリの地下活動の聖地であるテピート市場の薄汚い通りに安置されており、この地域はサンタ・ムエルテの発祥の地となった。
オックスフォード大学出版局の記事によると、現在、主にアメリカ大陸で最大1200万人がこのカルトを信奉していると推定されている。そしてこの動きを見過ごすことができないカトリック教会は同教団を厳しく断罪している。
「魔術全般だけでなく、このカルトに関連した呪いにも苦しむ人が増えている」とロペス司祭は信仰の面からも警鐘を鳴らしている。
同カルト教団と麻薬密売組織との関係は否定できないものの、社会に包摂されていないと感じている人が多いことのあらわれでもありそうだ。その意味では伝統宗教でもカルトでもない、特定の宗教を超えた社会的包摂もまた求められているのだろう。
参考:「Daily Star」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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