2015年の設立以来、アジアの物流をあっという間に席巻したインドネシアの物流サービスJ&T Express。国をまたいだシームレスなサービスとテクノロジー主導のロジスティクスにより急速な成長を遂げ、東南アジア各国および中国、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ブラジル、メキシコなど13か国に事業を拡大した。

Image credit : J&T Express official website
9月にはサウジアラビアで「Best New Last Mile Delivery Company」および「Most Innovative Express Delivery Service Provider」をダブル受賞。最も重要とされる最後の配送区間「ラストマワンイル」での傑出したサービスが評価された。
スマホメーカー「OPPO」のDNAがスマート物流のカギ
ここまでの短期間でJ&Tが急成長できた理由は何なのか、同業他社と何がどう異なるのだろうか。
そもそも「J&T」は、「ジェット&トニー」の意味。ともに中国人である創業者2人の名前の頭文字からきている。同社CEOのジェット・リー氏と、スマホメーカーOPPOの創設者兼CEOであるトニー・チェン氏だ。リー氏はかつてOPPOインドネシアのCEOを務めていた人物だ。J&Tが破竹の勢いで東南アジアでの成功をおさめられた要因は、OPPOの広範な流通ネットワークを活用できたことにあるとも考えられる。OPPOはJ&Tの主要顧客でもある。
J&Tは宅配サービス事業者だが、技術力を強みとするテックカンパニーでもある。顧客が荷物をリアルタイムで追跡できるモバイル アプリなどのテクノロジーを採用し、高い顧客満足度を実現した。倉庫管理システムや主要なオンラインマーケットプレイスのプラットフォームとのAPI連携により、シームレスな注文フローを確保している。
国内Eコマース市場の拡大もJ&T急成長の後押しとなった。J&Tは、Tokopediaをはじめインドネシア国内のEコマース大手数社を顧客に持つ。Eコマース事業者用ワンストップソリューションとして、同事業に特化した三大コアサービス「フルフィルメント」、「ラストマイル配達」、「国際配達」を提供しているのだ。