2023年12月、中国資本TikTokがインドネシアEC最大手Tokopedia株の過半数を取得し、インドネシアEC事業を同社と統合する旨が発表された。同年9月にインドネシア政府によってSNS上での決済手続きが禁止され、通販機能「TikTok Shop」の停止に追い込まれていたTikTok。今回のTokopedia株式取得により、同国EC市場再参入を果たすこととなる。

国際的巨大資本が注目するインドネシアEC市場、そしてその立役者であるTokopediaについて今さら聞けない基本情報をおさえておこう。

成長続くインドネシアEC市場、開拓者は国産プラットフォームTokopedia

インドネシアのEC市場が急拡大を続ける背景には、世界第四位の2億7000万という人口、インターネットおよびスマートフォンの急速な普及拡大、パンデミックによる消費行動の変化といった要因がある。中国資本のアリババやTikTokだけでなく、AmazonやSoftbankなど世界中の企業から関心と資金が注がれ続けている状況だ。

インドネシアのインターネット普及率は今でこそ77%にまで到達しているが、Tokopediaが誕生した2009年にはわずか7%。当然オンラインショッピングも浸透していない、そんな時期だった。創業者はともに1981年生まれのWilliam Tanuwijaya氏とLeontinus Alpha Edison氏。1万7000もの島から成るインドネシアでは、全国規模の流通に困難があった。地方出身の創業者2人が感じていた大都市と地方の商品アクセス格差を解消するために設立されたのが、オンラインマーケットプレイスTokopediaだ。

今では1400万以上のショップが出店。配送は国内都市の99%をカバーし、商品の約6割が翌日配達可能だ。デジタル決済、交通機関のチケット販売、ホテル予約、映画やイベントチケット、ストリーミングサービスのサブスクリプションプラン、さらには投資商品など幅広いサービスを提供している。

2018年にeウォレット「Ovo」と提携するなどフィンテックへの進出も果たし、ユーザーベースを拡大した。携帯電話のクレジットチャージ、電気料金の支払い、列車チケットの購入などが可能だ。スタンダードチャータード、UOB、シティバンクなどの世界的な金融グループとの提携により、クレジットカード申込機能などの銀行サービスも導入している。

また、中小企業を対象としたピアツーピア融資プラットフォーム「Dhanapala」や信用スコアリングシステム「TokoScore」を導入。決済、保険などのサービスを提供し、オンラインマーケットプレイスの核となるビジネスを補完している。

Tokopedia公式サイトより引用

2021年には国内のオンライン配車・配送サービス大手Gojekと合併し、GOTO(PT GoTo Gojek Tokopedia Tbk)となる。翌2022年にはGOTOがインドネシア証券取引所に上場。昨年末に、GOTO傘下としてTokopediaがTikTokと事業提携するはこびとなった。