皆さんこんにちは。
フラッグシップの上野です。

ライターさんが紹介してくれた商品に対して、造り手側からの目線で発信する記事もこれで第五弾となります。
今回はFSB-803(フィールドライドシューズ)を説明したいと思います

完璧な説明と素敵な写真で生地を描いてくださったライターの土山さんの記事があるので私から付け足すことなどほぼほぼ無いのですが……。

ここはお仕事。私なりにこのシューズについてご説明をしたいと思います。

靴の製法は4つ! 
それぞれの特徴とは?

以前FSB-802という弊社のロングブーツでも靴の構造について軽く説明したのですが、おさらいをしたいと思います。
まずはざっくりと靴の製法と種類について説明いたします。

製法によってそれぞれ違う特色をもっている靴。
かなりざっくりと分けて 4つの製法があります。

①糸で縫い付ける製法
「グットイヤーウエルト式」「マッケイ式」昔からある製法

②接着剤で貼り付ける製法
「セメント式」 「加硫式」大量生産に向いている製法

③縫いと接着を使う製法
「ステッチダウン式」 「カルフォルニア式」色々な製法を組み合わせて作る製法

④一体成型する製法
「加硫圧着式」「インジェクション式」 「スラッシュ式」ゴム長と言われる長靴はこの製法

製法はそれぞれありますがこの「〜式」と言う製法は 甲部(アッパー)と底部(ボトム)を接合する方法のことを指します。
つまりは、靴は大きく分けて 甲部(アッパー)と底部(ボトム)の二つの部分で構成されていると言うことになります。

FSB-803(フィールドライドシューズ)を解体!
普通の靴とはどこが違う?

ではFSB-803で名称の説明をしたいと思います。
このブーツを半分に切ったものがこれ。

これに名称を入れてみましょう。

ちなみにこのFSB-803はFSB-802同様「セメント式」の製法を用いて作られています。
大量生産に向いている製法で量販店で売られている物の大半がこれです。

歩きやすい秘密はライディングシューズのボトムにあり

先ずはボトムの説明から。
大きく分けてインソールミッドソールアウトソールを一つにした物をボトムと言います。

その断面特にインソール部分を見てみると結構複雑に素材が重なり合っているのがわかると思います。
実際写真では伝えきれませんが、不織布とかプラ板が複雑に重なっています
こうすることでカッチリしたインソール部分が作られるわけです!!

この解体図のなかで普段聞きなれないシャンクという名称、それを説明をしたいと思います。

シャンク(Shank)とは、靴の土踏まず部分に挿入される部品で、踏まず芯とも呼ばれています。

靴底の変形防止・ヒールの固定(婦人パンプスのハイヒール)・歩行の助長などがシャンクの役割です。
歩行の助長とありますが 板バネの様な物で反発を利用して推進力を得られるとして考えて頂ければわかりやすいかと思います。 

防水性と脱ぎ履きのしやすさを担うアッパー部分

次にアッパー側を説明。
最大の特徴としては、ヴォクサームと言う、透湿・防水フィルムを使用しています。
そんな防水フィルムはこんな感じ。

フィルムといってもビニール袋のような薄いものではなく、クッション性があるブーツ型をしたフィルムなんです。

その防水フィルムを支える表面素材は耐久性のあるマイクロファイバー(人工皮革)を使用し、丈夫でしなやかなナイロン生地と組み合わせることで見た目より軽く作ることができました。

そしてこのブーツの最大の特徴が『スピンオン(SPINON)システム』というワイヤーシステムです。

このワイヤーシステム足首上、足首下、二箇所で調整することで自分好みに調整が可能となるんです。

例えば、下側を締めて、上側を少し緩めにすると歩行時らくに行動できるとか、
シフトチェンジを繰り返す時には、下側を少し緩めて上側を締めて運動性を高めたり自由に調整ができます。

それに、ワイヤーシステムのおかげでとにかく脱ぎ履きも楽!!
やはりツーリング先のブーツの脱ぎ履きはストレスありますから、楽にできた方がいいですよね!!