いずれは世界進出も夢ではない?

 商業誌などに連載せずに個人漫画家として活動していくうえで、自分で仕事を切り拓いていく必要性を強く訴えるぬこー様ちゃん氏。

「さまざまな作家さんを見ていると、作ること(漫画を描くこと)ばかりに熱中している方々が多い印象です。それはもちろん素晴らしいことなのですが、ただ作るだけでは読者に見てもらえません。がんばって作った作品をきちんと多くの読者に読んでもらって、お金がもらえるような仕組みとして発信し、地に足を付けることはクリエイターとして大事なことです。

 一方で商業誌に連載するという従来のスタイルで活躍される先生方のように、漫画だけを描いて、掲載や宣伝などは出版社に任せるほうが向いている作家さんもいるでしょう。漫画志望者のなかには、商業誌信仰が強くて、SNSをやらない方もいるようです。ただ私の肌感覚で恐縮ですが、ほとんどの漫画家志望者は商業誌連載には向いていないといえます。自分だけで作品をプロモーションしたいこともあるでしょうし、何なら編集者とぶつかって衝突が起きることも考えられるので、黙々と創作に打ち込めるタイプではないと商業誌の漫画家は難しい。自分だけでどんな販路にするか、どうやってPRしようか、と考え、行動してきちんと結果が出せれば、嬉しいですし自分の努力も報われるので、個人のほうが肌に合う漫画家志望者は多いのではないでしょうか」(同)

 従来の漫画家像とは異なるものの、自分で作品を売り込んでいく姿は、さながら実業家のようだ。漫画を描くだけではなく、ビジネスパーソンとしてコンテンツの魅力を発信していくことも、これからの漫画家に必要なスキルになるのかもしれない。

「現代の読者は、漫画家が商業誌連載をしていたという肩書きではなく、『今何をしているのか』に興味があります。毎日漫画を投稿して作品を知ってもらうことは大切ですが、それ以上に作家の中身も知ってもらう必要があるかと思います。雑誌という看板がない分、やはり作家のことをキャラクターとして親しんでもらわないと継続的に読んでくれる読者は現れません。自分自身をタレントのように認知してもらうことが大切になるでしょう。

 余談ですが、これからは日本国内だけではなく、海外も大きなマーケットになると信じています。漫画は従来、言語の壁が大きく、大手出版社を除き海外進出は難しかったのですが、翻訳ツールの発達などにより、いずれ容易になるでしょう。そうすれば漫画家の活躍の場は、よりいっそう広がるはず。自分でマーケットの流れを掴み、収入源を確立すれば、ワールドワイドな漫画家として活動していけると私は確信しています」(同)

(取材・文=中田椋/A4studio、協力=ぬこー様ちゃん/漫画家)

提供元・Business Journal

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