店側のメリット、デメリット

 導入する飲食店が増えている背景には、コロナ禍における「非接触(衛生面)」と、ずっと続いている「人手不足」、そして昨今の「インバウンドの増加」による影響が大きいと思います。まずは、セルフオーダーシステムのメリットとしては以下があげられます。

・お客さんが自分のペースで注文でき、スタッフも声を掛けられる回数が減るため、双方のストレス軽減となります。これは、機会損失防止による客単価アップとなり、その後のリピート確率も上がるので総じて売上増加につながります。

・ホールスタッフがお客さんに声を掛けられることが減るので、店内配置人員の数を抑えることができ、人手不足の店はかなり助かります。結果、人件費を抑えることもできます。また、スタッフがオーダー取りというルーティーンから解放されてゆとりができた分、接客サービスやコミュニケーションに専念する時間が生まれ、顧客満足度が高まり、売上増加にもつながります。

・お客さんが画面を見ながらセルフオーダーしますから、聞き間違いや伝達ミスが減ります。日本語が苦手な外国人でもホール業務ができますし、システムによっては英語や中国語などの外国語への変換もでき、インバウンドにも対応可能となります。

・誰が触ったか分からないメニュー、汚れが残っているメニューに触れることなく自分のスマホで注文できるので、お客さんもスタッフも衛生面で安心できます。

・紙のメニューと違い、元データの修正がお客さんの手元のメニューに反映されます。印刷費用もかかりませんし、機動的なメニュー提案が可能となります。

・お客さんの許可やシステム装備によっては、お店のPOSシステムと連動することで顧客管理が可能となり、今後にも活かすことができます。

・従来の専用端末を使うオーダーシステムに比べ、設備投資など初期導入コストや、保守・メンテナンスコストを抑えることができます。

 これらメリットが多いため、最近QRコードを使ったセルフオーダーシステムを導入する店が増えているのでしょう。半面、デメリットや導入しない理由としては以下があげられます。

・いまだにスマホを持っていなかったり使いこなせないお客さんが多い店舗では、スタッフ、経営者が不便さを感じるでしょう。また、店の雰囲気的にメニュー表のかわりにスマホを利用したり、コミュニケーションが減ることについて「味気ない」という印象を持つ経営者もいます。

・お客さんが自分たちの好きなタイミングでオーダーを入れてくるため、オペレーションをしっかり組み立てておかないと厨房業務がパンクしてしまう可能性が高まります。

・お店の規模的に、わざわざシステムを経由しなくても口頭で十分だという店もあります。

・従来タイプよりもコストを抑えられるようになったとはいえ、月々のコストはかかります。

 以上のハードルがありますが、お客さんにとって便利なものですし、人手不足はすぐには解消されないでしょうし、インバウンドの流れはそうそう止まらないため、セルフオーダーシステムを導入するお店は今後も増えていくことでしょう。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?