なぜ、管理職は不人気かといえばとにかく面倒くさく、自分の仕事より部下の教育や悩み相談、部を取りまとめるための会議、上司とのやり取りなど時間と労力を求められるのです。課長というポジションは昔から最も不人気で上と下の間に挟まる「あんこ」そのものなのです。
ところで私は稲盛さんのアメーバーというのは現代社会では機能しないとずっと以前から思っています。様々な理由があるのですが、この管理職の不人気ぶりで適当ななり手がいないという問題があるためにアメーバーにこだわっていたら日本は圧倒的な人材不足に陥ることになるのです。
少子化もあり、管理職不人気ぶりもあり、業務の複雑さから課長に適任な人は昭和の時期に比べて1/3以下になるとみています。とすればアメーバーの単位も3倍にならざるを得ません。アメーバーの長が係長ならたぶん現在の6-8人体制を20-30人規模の管理体制にする必要があり、課長は100人規模を管理することが必然になるはずです。つまり日本の人事体系と組織体系は変わらざるを得ないところまで来ているということです。誰もそれは指摘していないと思います。
人事部からすれば管理職不適格者も多くなるとみています。管理職の適性とは仕事の実務が十分できることと人間性を問われます。前者は専門能力を磨けばよいわけですが、後者の人間性は酷く難しくなったと思います。それは若い世代がリアルコミュニケーションをとることに不得手であるため、褒める使い方しかできないからです。まさかあの「褒め殺し」も出来まいし、なかなか人を使うテクニックは難しいということです。
もう一つがコンプライアンス。とにかく大手になればなるほどこれが微に入り細に入り決められています。興味深かったのが警視庁公安部が作ったユーチューブのドラマ。全部で20分程度の短いドラマですが、要はスパイがうようよしていて情報漏洩に対する啓蒙を図るものです。管理職はこんなことにも気を配らねばなりません。部下の社外での行動にも目を見張らせる必要があるとすればそんなこと、やってられねえーとなるのがオチなのだろうという気がします。
管理職をやらないと重役になれません。組織が嫌だから自営業をやるという選択肢は間違い。自営業は立派な管理職であり、社長なのです。今はそんなのんきな職業などないとすれば社会全体のあり方を見直すぐらいの覚悟がいるかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月18日の記事より転載させていただきました。
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