ターゲットとなった高級アイス
今月初め、現地メディアは中国で人気のアイス6種類を使って実験を行った。室温31度の環境下でそれぞれのアイスがどれくらいで溶けるかを測るものだ。
その結果、最高で一本66元(約1,300円)もする「鐘薛高」が1時間経過しても形を保ったままであることが話題になった。同じ高価格帯に位置するハーゲンダッツは水のように溶けたが、鐘薛高は柔らかくなっただけあまり崩れていなかった。

これを見た消費者らは防腐剤などの有害な添加物が含まれているのではないかと疑い、同ブランドに焦点が当てられた。
その後、あるネットユーザーがライターで同じ商品をあぶってもあまり溶けず表面が焦げた動画が注目を集め、ついに大炎上した。

ブランド側は全ての原材料が国家の安全基準を満たしていると火消しに急いだものの、批判は止まらない。ゼリーなどにも使われるカラギーナンという添加物が原因で溶けにくいとされているが、消費者は同添加物も含めて品質問題だと捉えた。
高級アイスへの不満から追及、そして炎上へと事態はだんだんと深刻化していった。
そのため、中国市場監視管理当局までもが本騒動に関心を寄せていると示した。
現在も同ブランドのアイスを火であぶる、ゆでる、揚げる動画がDouyin(中国版TikTok)などであふれている。全体の雰囲気にブームのような波乗り感があることは否めない。実際、本騒動が鐘薛高による炎上商法ではないかと疑う者も現れ始めていた。
今後について
今回の「アイス狂騒曲」がこれほどの大騒ぎになった要因は様々だが、一番の原因は今年のコロナ禍で消費者はより価格のコスパに敏感になっているからだと思われる。
また、鐘薛高は低・中価格帯のアイスと一緒に置かれているため、消費者からは紛らわしいとの声も上がっていた。そのため、同ブランドは専用アイスボックスの設置計画を進めていると示した。
反対に廉価でシンプルな商品への支持が強まっており、13年間格安価格を維持してきたアイスブランド「雪蓮」の売り上げは急増していた。
こうした値段騒動はアイス市場に止まらず、干し梅やフルーツ市場などと広がりを見せていた。今後、同じように槍玉に挙げられるブランドが現れないとも限らない。
コロナ情勢が沈静化したものの、まだ不安定な様子を見せている中国で市場がどのように変化するのか、チャイトピは引き続き注目していきたい。
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