漢数字の「一ニ三」は、「壱弐参」という表記がされる事もあります。
わざわざ画数を増やして難解にするのも不思議なような気もしますが、間違い防止や不正防止、詐欺防止などの意味があるそうです。
この難しい漢数字「壱弐参」は大字というのですが、ここではこの大字はいつ頃からあるのか、他にもどのような大字があるのかを解説します。

目次
 ・「壱弐参」は大字という
 ・大字がある理由
 ・大字の使用される場所
 ・大字の歴史
他にも大字はあるの?
 ・日本の法令では「壱・弐・参」そして「拾」のみ
 ・実際にはある他の大字

「壱弐参」は大字という

漢数字の「一二三」は「壱弐参」とも書くけど違いはあるの?わざわざ画数を増やすメリットは?
(画像=『FUNDO』より引用)

難解な漢数字の壱弐参のことを指す「大字」は「だいじ」と読みます。
まずは大字がどういうものなのかを見ていきましょう!

大字がある理由

そもそもなぜ、壱弐参という大字はあるのでしょうか。
それは、間違い防止や不正防止、詐欺防止のためだとされています。

単純に一二三という簡単な漢数字であれば、あとから付け加えて数字を変更することが可能となってしまいますよね。
例えば、一に「_」を加えれば二になってしまいますし、一に「|」を足せば十になります。

それもあって、二や三は本来の数字に、線を付け加えられたものではないかと疑われたり、勘繰られる可能性があります。
そのような改竄や疑念を抱かれるといったことを未然に防止するため、難解な形状にした「大字」は誕生したのです。

大字の使用される場所

大字は数字の改竄による詐欺などを防ぐ他、カタカナとの混合が起きないように用いられるものだとされています。
特に戸籍や領収書や登記などの法的文書や会計書類などは大字を用いる、とされています。

また、紙幣でも大字が使われています。
一万円札は「壱万円」、二千円札には「弐千円」と書かれています。
ちなみに、千円札は「千円」となっているので大字は用いられていません。

大字の歴史

大字という文化はいつから始まったのでしょうか?

これに関しては、少なくとも飛鳥時代には存在したことが分かっています。
701年に制定された大宝律令において、公式文書の帳簿類に大字を使うことが定められています。

当時から漢字の読み間違いや書き間違いを防ぐために用いられた他、線を書き足すことで数字を変えられないようにするためのものとして活用されていたのではないかと考えられています。

大字は、中国でも古くから存在していたとされています。
一部は簡体字に変化しているものの、現代でも使われています。

他にも大字はあるの?

漢数字の「一二三」は「壱弐参」とも書くけど違いはあるの?わざわざ画数を増やすメリットは?
(画像=『FUNDO』より引用)

改竄しやすい「一二三」の大字「壱弐参」がやはり代表的ですが、他の漢数字にも大字は存在しています。
ここからは、他の大字についても見ていきましょう。

日本の法令では「壱・弐・参」そして「拾」のみ

現在の日本の法令で用いるべし、とされている大字は壱弐参の他に「十を意味する拾」のみとされています。
大字の指定について書かれた現行の法律で一番古いものは、明治41年法律第53号の第三十七条三項とされています。

その第三十七条三項によると「数量や年月日および番号を記載するには壱弐参拾の字を用いるべし」と明記されています。
他にも指定している法律がありますが、いずれも大字は壱弐参拾とされています。

実際にはある他の大字

ただし、壱弐参拾の他にも「四・五・六・七・八・九」や「百・千・万」を大字で表現することが可能です。
詳しくは以下を参考にしてください。


・四の大字:肆
・五の大字:伍
・六の大字:陸
・七の大字:漆(柒)
・八の大字:捌
・九の大字:玖
・百の大字:佰(陌)
・千の大字:仟(阡)
・万の大字:萬