日本市場の魅力は?
―――中国のベンチャー・スタートアップ企業は、日本市場のどこに魅力を感じているのでしょうか。
我々が(中国のベンチャー・スタートアップ企業に対して)重点的に支援している領域は2つあります。
1つはデジタルの領域、特に日本の企業に向けてDXやITサービスを提供する会社です。
日本では、国も企業もデジタル化を非常に進めていきたいと考えていて、ITに対する投資がかなり大きい。中国はかなり進んでいるITのプロダクト<製品やサービスのこと>を持っており、日本はとても魅力的な市場です。
もう1つはサービスロボットの領域。たとえば、今ガストをはじめとするすかいらーくグループが運営している会社が採用しているネコ型の配膳ロボットは良く知られていると思います。
そのほかのレストランやホテルで提供されている配膳ロボットも全部中国製なんです。
中国大手ロボットメーカー「Pudu Robotics」のネコ型自動配膳ロボット「Bellabot」
日本では高齢化が進んでおり、労働人口が非常に少なくなっていて、これから自動化やロボット化を進めていかなくてはいけません。
中国国内でサービスロボットは、かなり使われるようになっており、それを日本に持っていっているんです。
日本でもサービスロボットを開発するベンチャー企業はあるんですが、どうしても高額になってしまう。
(一方で)中国のベンチャーは、中国の巨大市場と発達したサプライチェーンによりコスト競争力のあるプロダクトを持っています。
日本にとって、まさにニーズにはまり、かつコストに見合うので、多くの企業がかなり積極的に検討しているんです。ある中国ベンチャーの方は、「販売台数は中国国内が多いけれども、売上ならば、むしろ日本の方が大きい」と言っていました。
日本の方がより高い価格でも買ってくれるということもあって、日本は戦略的に非常に重要なマーケットだとも言っていました。
1月24日(水)掲載の第2回「中国ユニコーン企業がAIとEコマースに強いワケとは 日中の“オープンイノベーション”を推進するコンサルティング企業「匠新」代表・田中年一さんインタビュー(2)」に続く