世帯収入と学歴は相関関係あるが変化も
教育費の実態から考えると、費用をどれだけかけるのかによって、子どもの学歴が決まるのではないかと思ってしまう。しかし、北氏は必ずしもそうではないと話す。
「国立であれば東京大学、私立であれば早稲田大学、慶應義塾大学などを目指す場合には、世帯収入が高い世帯が有利になる面はあるでしょう。一方で、小学校から大手塾に通っていなくても、難関大学に進学する人はいます。世帯収入と学歴に相関関係はあるけれども、全てではないということです。
首都圏の中学入試も、最近は変化しています。一つが中堅校の教育の充実です。難関校ほど偏差値は高くないものの、生徒の将来を見据えた教育カリキュラムがある学校や、高大連携によって大学の推薦枠が充実している学校が増えてきました。中堅校であれば中学受験に向けた学習は2年間くらいでも十分対応できます。「プログラミング入試」や「グループワーク入試」など、教科の学力以外の能力を見る入試を導入している学校もあります。
もう一つは公的負担の充実です。東京都は2024年4月から、私立を含む高校授業料の助成で所得制限をなくす方針を示しました。国の高校就学支援金は年収910万円未満の世帯が対象で、東京都は独自の助成を上乗せしてきましたが、年収910万円を超える世帯でも、子どもを2人以上私立高校に通わせるのは大変です。所得制限の撤廃は中学受験のハードルを下げることにもつながるのではないでしょうか」