インターネットが普及して早30年。インターネット上には、ニュース記事など文字による情報に依存しているコンテンツが溢れている。

しかし、視覚障がいに直面している人にとって、文字コンテンツをそのまま読むことは非常に困難だ。

そんななか、イスラエルを拠点とするOrCam Technologies(以下、OrCam)は、人工視覚の力を利用して、視覚障がいのある人々を支援している。今回は、同社が提供しているウェアラブル端末を紹介していく。

周囲の状況を音声で説明する「OrCam MyEye」

OrCam Technologies 公式サイトより引用

2010年に設立されたOrCamは「すべての個人が情報にアクセスし、世界と関わる機会を得る権利がある」という信念にもとづいて、AIを活用した視覚支援テクノロジーを開発しているテック企業。

同社が提供する「OrCam MyEye」は、周囲の状況を音声でフィードバックし、リアルタイムでユーザーをサポートする画期的なウェアラブル端末だ。

音声、テキスト、視覚データにもとづいてトレーニングされた独自の大規模言語モデルが組み込まれており、ユーザーの音声に反応して起動し、正確な説明を行う。

視覚障がいや視力低下に悩む人だけでなく、字を読むのに疲労を感じる人、困難を抱える人にも適している。

テキストの読み上げ・顔認証などが可能

それでは、OrCam MyEyeの主な機能を紹介しよう。同製品は、印刷されたテキストやデジタルテキストを音声で読み上げることが可能。ユーザーは書籍、新聞などにアクセスできる。

また、OrCam MyEyeは顔を認識するため、ユーザーは職場や出先で目の前に誰がいるのかを把握できる。さらに、商品やバーコード、紙幣や色を識別することも可能だ。

職場でのコミュニケーション、書類やデジタルテキストの読み取り、日常生活での読書や買い物…といった場面で活躍しそうだ。

携帯用AIリーダー「OrCam Read」

OrCamは、OrCam MyEye以外にも携帯用AIリーダー「OrCam Read」や学習サポートAIデバイス「Orcam Learn」も提供している。

OrCam Readは、加齢に伴う視力低下、軽度から中等度の低視力、または読書疲労に関連する読書困難を含む、視覚に障がいのある人々に向けた小型デバイス。

AIを活用して、デジタルテキストや印刷されたテキストをシームレスにスキャンして読み取ることが可能だ。ユーザーはお気に入りの朝刊や、本、Web記事、電子メールを簡単に読むことができる。