2024シーズンの陣容総括

福岡はおそらく、各メディアの補強診断で今季も低い評価となるだろう。新加入選手の人数が多くなく、それぞれが残してきた数字だけを見ると他チームと比べて地味に映るためだ。ただし、サッカーは単純な足し算ではない。「チーム戦術に合致した」選手であることが重要だ。その点で福岡は間違いなく良い補強ができたといえる。チームの根幹を成す守備陣に主力の流出はなく、崩れる姿は想像できない。中盤から前では「チームの心臓」と評されるMF前寛之や、初タイトルに多大な貢献をした“博多のメッシ”ことMF紺野和也ら主力の多くが残留している。

1つ不安を挙げると、明確な点取り屋が不在なこと。昨シーズン以上の順位に入るためには得点増が不可欠で、FWベン・カリファやFWウェリントン、FW鶴野怜樹、FW城後寿などタイプの異なるFW陣のうち、誰かが「新エース」にならねばならない。長谷部監督は、新体制発表会で今季の目標を「リーグ戦6位以上、カップ戦ベスト4以上」と掲げた。その際の自信漂う表情から察するに、指揮官としては十分な陣容が揃ったと感じているのだろう。2023シーズンの7位を上回るため、そして願わくば2つ目の星をユニフォームに輝かせるために、再び前評判を覆す戦いが始まる。