ディープ&ボトムレンジの攻略

万能とはいえ、オールレンジをスプーンだけでカバーするには慣れが必要。深場狙いではそれに特化したルアーを用いることで攻略がより容易になる。

「ディープやボトム付近の攻略にお勧めの貴社ルアーをひとつ挙げてください」との問いかけに対する上杉さんの回答が以下。

「ディープレンジの攻略を得意とするのがメタルバイブレーションのHabbi(ハビィ)です。このルアーは3つのラインアイを備え、ラインを前方のアイに接続すれば小刻みな泳ぎに、後方ならワイド、真ん中ならその中間の泳ぎになります」

トラウト専門メーカーに聞く【ルアーローテーションの秘訣】レンジを意識し組み立てようハビィのカラーは全12色(提供:TSURINEWS編集部)

さらに、「泳がせ方はタダ巻きのほか、リフト&フォールやボトムバンプなど縦の誘いも得意です」と続けてくれた。

単に深場に対応したルアーというだけでなく、アイを選択することで泳ぎを変え、同じルアーで異なる補食嗜好の魚や、警戒心の変化に対応できる点は注目。

なお、サイズは21mmでウェイトは1.6gと2.1gがある。手返しよく攻略したい場合は後者の出番だ。

表層レンジの攻略

魚が上ずっている放流直後や、日中に表面水温が上昇してトラウトの捕食レンジが上がった場合は表層を攻めるのが有効だ。

「表層狙いで有効なルアーを教えてください」との記者の質問に対する上杉さんからの回答が以下。

「潜行深度の浅いハイフロートタイプのプラグが扱いやすくバイトもよく見え面白いです。当社のルアーではPotts(ポッツ)HFがこれにあたります」

トラウト専門メーカーに聞く【ルアーローテーションの秘訣】レンジを意識し組み立てようポッツHFのカラーは全7色(提供:TSURINEWS編集部)

「このルアーの潜行深度は最大15cmで泳ぎはウォブリング、着水後にしばらく静止させたあとスローのタダ巻きで泳がせるのが基本ですが、ストップ&ゴーも有効です」とのこと。

ペレットや水面に落下してくる昆虫を意識しているトラウトにぜひ投じてみたい。

トラウトの生態的特徴について

最後に、管理釣り場のトラウトは人工種苗の魚だが、野生の祖先から受け継いだ本能や生態的な特徴は残っている。対象魚の生態を知ることは釣りの基本。

トラウト専門メーカーに聞く【ルアーローテーションの秘訣】レンジを意識し組み立てようアイビーラインの吉田和展さん(提供:アイビーライン)

そこで、全国各地を釣り歩いてきたネイティブトラウトの雄、アイビーライン代表の吉田和展さんに、管理釣り場の代表的な2魚種であるニジマスとブラウントラウトの生態的特徴について聞いてきたので紹介したい。

ニジマス

活動が水温変化に左右されやすく、低水温下では温度が安定しているミドルレンジ以下で捕食することが多い。一方で表層水温が上昇すると浮いてくるので、レンジを上げて釣っていく技も有効。

トラウト専門メーカーに聞く【ルアーローテーションの秘訣】レンジを意識し組み立てようニジマス(提供:TSURINEWS編集部)

捕食の傾向としては、等速運動をするルアーを好むほか、ボトムのエサを拾い食いしたりもする。

ブラウントラウト

獰猛な性質で魚食性が強い。ニジマスに比べ水温の変化に強く、水温が低い朝のうちでも捕食のために上層に進出する。

性質上、アピール力のあるルアーやカラーを用い、ジャークやトウィッチなどリトリーブに変化を入れてやると口を使いやすい。ミノーや2.5g近い大きめのスプーンへの反応も良い。

トラウト専門メーカーに聞く【ルアーローテーションの秘訣】レンジを意識し組み立てようブラウントラウト(提供:PhotoAC)

なお、ベタ底の捕食は苦手なので、底層の釣りではリフト&フォールでルアーを浮かせるのが有効だ。

以上、今回は短くまとめることになったが、これらの情報を参考に攻略の手数を増やしゲームを楽しんでほしい。

なお、エリアトラウトがきっかけでネイティブの世界に足を踏み入れる人もいると思うが、フィールドが施設から自然の中に移ってもルールやマナーを守ってゲームを楽しんでほしい。

<五井/週刊つりニュース中部版編集部>