政治改革大綱の理念は、二大政党制を前提として、政党の機能を強化するという方向性でした。今回もこの理念を踏襲するのであれば、ポストと資金配分の機能につき、一定の基準のもとに党に一本化することを考えることになるのでしょう。

昨年の年末、かなり丁寧に選挙区内を廻ってみたのですが、永田町の感覚とは大きな差があることを実感します。これは鳥取県のみならず、全国的な現象であるはずで、これを見誤ると政権の維持自体が困難になるように思われます。この現状を決して甘く見てはなりません。

極めて当然のことですが、政治を変える力を持っているのは主権者である国民であり、それ以外にはありません。期日前投票の制度がかなり整備されて、投票の利便性が格段に向上したにもかかわらず、投票率がここまで低いことに強い危機感を覚えています。

「投票したい候補者がいない」「投票したい党がない」と言うのであれば、それを明確に示す白票を投じてこそ意義があるのだと思います。棄権という選択では、どのような意思に基づくものなのかが全くわかりません。敢えて言えば、「国の安全保障がどうなろうが、財政や社会保障がどうなろうが私の関知したことではない」「誰が政治をしても同じことだ」という有権者が多い国の将来が、明るいものになるとは私にはどうしても思われません。

「投票したい候補者がいない」というのであれば、各政党の候補者の選定の部分から党員等になって関わっていくことも必要でしょう。この地域の代表として相応しい、と思える自分の身近の人を発掘し、各政党の候補者として推薦したり、支持する人を増やしたりすることは、有権者教育の進んでいる北欧では至極当然のこととして若者が多く関わっていると聞きます。

また、投票義務制に多くの反対論があることをよく承知してはおりますが、民主主義が健全に機能するためには、より多くの投票が必要です。国民主権における主権者の責任の重さは、民主主義の価値と極めて近似したものであるように思われます。主権者と我々政治に携わる者との間には、強い信頼関係とともに適度の緊張関係があるべきですし、我々は常に主権者に対する畏れと怖れの念を失ってはなりません。

年明け以来、体調の不良が続いており、何とか早く回復したいものだと願っております。 寒さが続く日々、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。被災地の皆様の少しでもの安らぎを心より念じております。

編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2024年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?