釣果偽装
釣り人としてあるまじき行為ですね。
釣った魚のサイズを盛ってしまいました。更に釣れた数も……
勿論、遠い過去の記憶ですよ。昨今は、そんな事が出来ない立場にしてもらったので、全て計測しております。
しかし、釣り談義でヒートアップしてしまったのです。釣れたのは39cmのメイタだったのですが、「40cmオーバーのチヌで、かなり手こずったよ。ゼロ号のチヌ竿で、ハリスも1号だったからね」っと、ド派手に盛りました。魔が刺した感触がありました。
釣れた魚は、手で撫でたら伸びそうな気がして……。
つい言ってしまいましたが、談義相手から写真の要求があった為、やむをえず再計測したのですが、やっぱり少し足りないのです。
筆者の苦しい言い訳としては、「帰ってから測ったら縮んだみたい!」と説明したのですが、相手から理解は得られませんでした。
あの時は、若かったな~。
海はもう死んでいる
真冬の磯にて、寒チヌ狙いで、思い入れのある瀬に渡るところでした。何故か「取材で同行させて欲しい」と言って、某釣り雑誌のライターさんが、カメラを片手に同じ磯に上がって来られました。
当時は、「全誘導・全層」の釣法が主体のチヌ釣りがブームで、筆者は全層のゼロ号ウキ仕掛けでスタート。
その日は風も無く、波も穏やかで、フィールド的に釣れる気配がムンムンと立ち込めていました。
「ライターさん、少し可愛いサイズでも大丈夫ですか?」と笑顔で語る筆者に、「大丈夫ですよ。その拘りの仕掛けで釣れた時は、一枚撮らせて頂きます」と楽しい会話が成立してました。
しかし、その日は何をやってもダメで……。
筆者の奥の手である全層沈めウキを駆使して、潮の中を仕掛け全体で探ってみるも、カサゴ一匹すら釣れない状況に陥ってしまいました。
そんな状況を目の前にし、つい絞り出す様な声で呟いてしまったのです。「海はもう死んでいる」
「チヌを釣ったら雑誌の一面でお願いします」と強気にホラを吹いてごめんなさい。あの日、死んでいたのは「私」でした。
ライターさん、何も釣れなくて、すみませんでした。
振り返ってみて
あの時の筆者は、釣り人で言うところの新米アングラーに当たる時期で、腕前を釣果で大きく見せたいという願望が少しばかり強かったのかな?って感じています。
これからは、周りの人をハッピーにさせる楽しいウソではなく、「情報」をご紹介出来るよう、努めてまいります。
<松永一幸/TSURINEWSライター>