トゥルーズ=ロートレック美術館
旧司教館であるバルビー宮殿は、大聖堂の隣に位置していて、現在は、アルビ生まれの印象派後期画家 トゥルーズ=ロートレック美術館となっています。36歳で早逝したロートレックの1,000点を超える膨大なコレクションは、落書き、デッサン、絵画、ポスターなど全ジャンルに及び、年代別・テーマ別にロートレックの全像が体感できる唯一無二の素晴らしい美術館です。

アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥルーズ=ロートレック=モンファ(1864−1901)という正式名を持つ彼は、南西仏有数の由緒ある名門貴族家系に生まれました。血筋重視の親族結婚の弊害で、思春期の怪我から両足の成長が止まり障害者となります。病弱で奇妙な身体に活動を制限された彼は、周囲を説き伏せて伯爵家長男としては異例の画家を志します。卓越した才能で、19世紀末のパリのキャバレーや娼館の日常などを描いて、当時の画家とは異質な分野で功績を残し、わずか36歳で早世しました。
ロートレック美術館100年周年(1922年開館)ビデオでは、館内の様子やバルビー宮殿の全容がよく分かるので、覗いてみて下さい。ジャポニズムに強い影響を受け、日本に憧れていたロートレックが好んで使用した、頭文字T-Lを印のように描いたサインもお見逃しなく!

宮殿内を観賞した後は、タルン川沿いの美しい庭園を散歩しましょう。館内の作品はどれも素晴らしく、私は特に直筆のデッサンや絵画に感銘を受けました。そして、これほど沢山の作品が母アデール伯爵夫人から故郷のアルビに寄贈された幸運に感謝しました。彼が亡くなった当時は時代がまだ彼に追いついていなかった、、、これからも世界中の絵画ファンがアルビの街を訪れることになるのでしょう。

それにしても、こんな名誉ある場所に個人名の美術館とは!この地を統治した家族の末裔に相応しく、ロートレックは在るべく場所に戻ってきたんだなぁと、タルン川にかかる古橋を眺めながら、ちょっとセンチメンタルになったのでした。
アルビで見つけた風景
アルビには、他にもこんな素敵な場所があります。

ルネサンス様式の木骨造りの住宅が建ち並んでいるアルビ旧市街。歩けば、中世にタイムスリップ気分が味わえます。

古橋の隣にかかる、新橋の朽ちたレンガの合間が鳩のアパートになっていました。