若狭佳日(わかさかじつ)で朝食
小浜市の阿納(あの)地区に以前あった「いたや旅館」が全面リニューアルし、2023年8月に新たに「若狭佳日」としてオープンしました。
阿納は、小浜の中心地から車で約30分ほどの場所にある集落で14軒の民宿が営業しています。内海で穏やかで魚を養殖するにはぴったりの場所なのだとか。
若狭佳日のコンセプトは、若狭の自然、食、人が重なり合い、紡ぐ「佳き日」
趣のあるどっしりとした和風建築の宿です。昔の宿場町にあったような雰囲気ですね。
のれんの緑色はこの地域の海がエメラルドグリーンであることから。
今回はオープンしたばかりのこちらの宿でこだわりの朝食を頂きました。
夕食といってもおかしくないほどの品揃えです。
左上から角野さんのへしこ炙り、野菜のお浸し、小浜厚揚げの焼き浸し、辛子明太子、特製出汁巻き、ひじきの煮物。
ごはんのおかずにも、お酒のつまみにも合いそう。。。
若狭かれいは若狭を代表するブランド魚。ねっとりとした食感、芳醇な甘みが絶品でした。
干し魚は大体塩味ですが、鯖の醤油干しは小浜独特の食べ物です。
こちらもしょっぱすぎず、味が芳醇で、ごはんのお供にぴったりでした。
かれい、鯖とも朝食に出てくる魚とは思えない存在感でした。
若狭の一汐(わかさのひとしお)
若狭の魚はなぜ、こんなに上品で美味しいのか、訊いてみました。
ひとつは水が良いこと。この辺りは地下水が豊富な為、新鮮で上質な水環境で育った魚は美味しく育つのは当たりまえです。
もうひとつは京都に近いということ。
若狭は魚自体のレベルも高いのですが、魚の加工技術がすごいのだそうです。
魚本来の味を殺さないようにできる限り薄く塩をあてる。絶妙の塩加減で加工します。
ただ塩が少なければ、鮮度は時間と共に落ちていきます。若狭は一晩で京都に届けられる絶好の位置にありました。
京都に着くまでの間に塩がちょうど良い塩梅で魚を美味しくして、最良の状態で都に届けられました。
このちょうど良い塩加減が「若狭の一汐」なのです。
京では「若狭もの」と言われ珍重されていたそうです。
その他、越のルビーの贅沢トマトジュース(甘くて濃い)、小浜の名水の汲み上げ豆腐(クリーミー)、グリーンサラダ、特製ヨーグルト(まるでクリームチーズのようなねっとりした濃さ)、若狭わかめ(肉厚)の味噌汁。
土鍋で炊かれたごはんはもちもちつやつや。へしこと辛子明太子であっというまに「お代わり~」。
巷ではコシヒカリは新潟魚沼産というイメージが定着していますが、実はコシヒカリは福井県の試験場で生まれたそうです。
水が良いから米が美味い、酒が美味い、当然の方程式ですね。
朝食は、庭と海を見渡せるダイニングでいただきました。
波穏やかな浜を動画でご覧ください。
朝食の後、旅館内を案内していただきました。
事前予想を良い意味で裏切られる、とても素晴らしい宿でしたが、中でも一番度肝を抜かれたのがお風呂(大浴場)です。
それがこちら。
ん?こんなお風呂見たことありますか?
若狭湾の景色を眺めながらお湯に浸かる外湯。
湯船に浸かりながら、まるで美術館で絵画を見ているかのような海景を楽しむことが出来るのです。
蔵をリノベーションして造られました。とてもリラックスできる癒しの空間です。
宿泊者はお酒、ソフトドリンク、おつまみが無料です。なんと素敵。。。
お部屋も単なる和風旅館ではなく、スタイリッシュなデザインに心奪われました。
和風旅館とは思えない洗練された内部。
スイートルーム棟の部屋のひとつ。この窪みは・・・なんだ?
以前はお風呂だったそうです。こちらのソファに腰を沈めて海を眺めるとインフィニティプールのような目線で海を眺められます。
以前の旅館の造りを活かしながら新しい価値を生み出しています。すごい!
阿納地区はとても静かな集落ですが、全18軒の内、14軒が民宿を営んでいるという今どき珍しい集落です。
冬にはここで料理を味わうことを楽しみにしているリピーター、ファン客が多く、シーズン中には予約が困難なほどだそうです。
京都から最も近い日本海の湊町、若狭小浜は、かつて朝廷に海の幸を献上する役割を担った「御食国(みつけくに)」であり、鯖街道を通じて京都の食文化を支えてきました。
その歴史が今も脈々と受け継がれていることを感じました。
まとめ
小浜の町は、朝歩きましたが、とっても気持ちよかったですね。
何より人が少ないのが良い(笑)。京都や金沢のように観光客でごった返していないのがこれほど心地良いものかと思いました。
ゆっくり自分のペースで歩き、「ん!」と感じたところで立ち止まってシャッターを切る、もの思いに耽る。
この贅沢さ。心が豊かになるのがわかりました。
若狭ふぐも美味しかった。ふぐは「白身魚の王様」と呼ばれ、中でもトラふぐは「ふぐの王様」と呼ばれておりますが、若狭はトラふぐの一大養殖地です。
こんなにふぐを食べたのは生まれて初めてでした。
静かな漁村の雰囲気漂う阿納集落に新たに生まれた「若狭佳日」。
これからの旅行の新しいスタイルの提案という印象を受けました。とてもスタイリッシュで洗練されてかっこいい宿です。
少子高齢化、限界集落、継承者不足。。。
日本、特に地方は元気の良い声がなかなか聞こえてきませんが、今回の若狭、小浜のように新しいうねりが動き始めているのを見て嬉しくなりました。
2024年春には北陸新幹線が敦賀まで延伸し、関東県から若狭エリアがぐんと近くなります。
ぜひ豊かな若狭へお出かけください。
文・写真・シンジーノ/提供元・たびこふれ
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