空から大量の金属片が降ってきた――。1983年に起きた“ヨーロッパのロズウェル事件”に新たな展開が見えている。

■畑一面にばら撒かれた金属片

 さかのぼること40年前、1983年1月23日の英紙「サンデー・エクスプレス」に掲載された奇妙な記事は、ウェールズの静かな村、スランイラルで空から大量の金属片が降ってきたことを報じた。いったい何が起きたのか。

「空から奇妙な破片が降ってきた。生まれたばかりの子羊の世話をするために畑をとぼとぼと歩いていた農夫、ユーウェル・エヴァンスは驚くべき光景を目にした。数百枚のハニカム状の金属箔が、サッカー場3つほどの面積に散らばっていた。片面が緑色、もう片面が灰色に塗られた巨大なねじれた合金板もいたるところに横たわっていた。そして近くの雑木林では木の枝が刈り取られていた」(新聞記事より)

「宇宙船の金属片」が落下していた…?1983年に起きた“ヨーロッパのロズウェル事件”
(画像=「Howandwhys」の記事より、『TOCANA』より 引用)

 異様な光景に驚いたエヴァンス氏が警察に電話すると、警察官に続いてイギリス空軍の兵士と士官がやってきて辺りをくまなく調べ、金属片をすべて回収して持ち去っていった。

 金属片の中にはアンテナのようなものや、シリアル番号のようなものが刻まれた大きな金属塊もあったという。空中で爆発した航空機の残骸なのだろうか。

 当日、周囲の上空を飛行した航空機は記録されておらず、空軍のレーダーには何も捕捉されてはいなかった。

 航空機でないとすれば気象観測気球なのか。あるいは落下してきた人工衛星なのか。警察によればそれはどちらもありそうにないという。

 警察と空軍が現地を調査したのはエヴァンス氏の通報後の数日間であったが、続く24日から31日にかけてイギリスのUFO研究家ゲイリー・ロウ氏と「ウェールズ独立UFO研究家連盟(The Wales Federation of Independent Ufologists)」のチームが墜落現場を調査した。

「宇宙船の金属片」が落下していた…?1983年に起きた“ヨーロッパのロズウェル事件”
(画像=ゲイリー・ロウ氏 「Howandwhys」の記事より、『TOCANA』より 引用)

 ロウ氏らは畑に隣接する森林地帯から合計6つの金属片と金属箔を回収した。現場の状況から、何らかの飛行物体が木々のてっぺんにぶつかって機体の一部が破壊されて砕け散り、幅約8メートルの範囲に破片が飛散し、その後飛び去っていったことが推察された。

 謎の6つの金属片は回収直後に「ブリティッシュ・エアロスペース」社の担当者によって分析され、ジュラルミンとアルミニウムの合金であることが報告されている。

 ロウ氏らが現場の再調査を計画していた矢先、エヴァンス氏から、金属片が見つかった森は伐採され、土壌も全て入れ替えられたうえに、立ち入り禁止区域になったという連絡が届いたのだった。当局による明らかな隠蔽工作で幕引きが図られたのだった。