「これからの時代は貯蓄から投資へ」と喧伝されて約60年が経つ。1960年代前半に「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが流行し、投資の大衆化が始まった。その20年後のバブル時代には「財テク」をキーワードに、貯蓄から投資に切り替えないと法人も個人も時代遅れになるという風潮が国の隅々にまで広がった。それから30年以上が過ぎ、今度は政府が音頭を取って「貯蓄から投資へ」の流れを促そうとしている。
そのようななかで今、「年利8%以上(※1)」の商品ラインアップで注目されているのが、WeCapital株式会社の100%子会社であるヤマワケエステート株式会社(※2)が不動産特定共同事業法に基づき運営する不動産クラウドファンディングプラットフォームだ。
そこで今回はWeCapital代表取締役の松田悠介氏と、学業と芸能活動のかたわらネイル関連商品のネット通販を手がける起業家の一面も持つ女優の桐原愛歩(あゆ)さんに話を聞いた。
※1:利回りは想定かつ税引前のものであり、投資対象の状況や市況により、想定通りの配当が行われず元本が毀損するリスクが存在します。各商品の手数料やリスクについては、商品毎に異なるため、当該商品に係る契約成立前書面や個別の契約書等の説明資料をご覧頂いた上、最終的な投資決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
※2:現在は、WeCapital社の子会社であるヤマワケエステート株式会社が運営するプラットフォーム上で不動産案件を中心に取り扱い、今後はWeCapital株式会社が運営する「ヤマワケ」で不動産以外も取り扱う予定です。
松田社長:「私は株式会社という法人形態が、いつの間にかマネーゲームの対象になってしまったことに疑問を持っていました。株主も取引先も同じ船に乗るべきで、弊社のシステム開発や広告運用、商品発掘などを、基本的に株主との取引でやっていこうと。この考えで160の株主に参画していただいています」
2023年9月にWeCapital株式会社の子会社であるヤマワケエステート株式会社が、不動産クラウドファンディングプラットフォーム「ヤマワケエステート」を開始したところ、12月22日現在でファンド総額は27億円を超え、応募総額も67億円を超えた。案件数は16号案件までリリースし、現在は週2本のペースで新規案件のリリースを続けている。
ヤマワケエステートは会員と匿名組合契約を締結し、集めた資金で不動産を取得・賃貸し、これを賃借又は売却等することにより運用している。そこで得られた賃料収益及び物件売却益を会員に分配する。
第1号ファンド「新宿区弁天町新築レジデンスファンド」(想定利回り年8.00%、運用期間12カ月)は、募集開始約2時間半で募集金額の3億6670万円を達成し、締め切り時点の応募総額は6億7972万円。第2号の「大宮エリア 若者向け新築アパートファンド」(想定利回り年8.1%、運用期間約4カ月)は募集開始後約24時間で目標金額の1億2000万円を達成し、募集終了時点の申込総額は2億5486万円に達した。ヤマワケエステートでの取り扱い物件の選定基準は想定利回り(税引前)が年利8%を上回ることにしているとのことだが、その理由は何か。

松田社長:「私が投資したい商品かどうか、さらに家族に紹介できる商品かどうか。私が投資家なら年利1%や2%の商品には投資したくありません。年利8%以上の商品でないと投資したくないので、年利8%以上を基準にしています。年利8%の商品に1万円から投資できれば、平均的なサラリーマンの方でもボーナスの一部をヤマワケエステートへの投資に充当して、資産形成ができると思います。
不動産物件には、開発業者と投資家の間に、開発費や販管費などに関わる情報の非対称性、情報量の格差があります。ヤマワケエステートでは、この非対称性を解消し投資家ができる限り多くの情報を享受できるようにして、両者の関係を開いています。私は、この取り組みを『投資の民主化』と考えています。例えば自分がよく通っている飲食店が投資商品になって利回りが付けば、地域住民は投資しやすくなります。互助的に資金を出して、その資金で生産力を上げていけば利回りが出るようになっていきます」
ヤマワケエステートでは、11月末から飲食店への投資募集を始め、その後はリラクゼーションサロン、調剤薬局、大型リゾート、など対象を拡大していく計画だ。また、親会社であるWeCapitalにおいても、今後、貴金属、自動車、イベントなどメーカーが開発する商品(一般消費財)やアート作品など、「モノ」や「コト」への投資募集を目指している。どのような投資スキームなのか。
松田社長:「アート作品の場合、例えばアーティスト等が合同会社を設立し、作品を弊社が10枚バルクで購入してファンド化し、値上がりの期待に対して投資を募ってゆく。仮に1枚100万円で購入し、3年後に200万円に値上がりするという将来価値が付けば、例えば値上がり分の4割をアーティスト、6割を投資家に分配できるようにします。この仕組みによって、アーティストは描いては売り描いては売るという繰り返しで焼き畑農業のようなサイクルから解放され、ポテンシャルを開花できるようになるのではないでしょうか」
各投資商品が想定利回り8%(税引前)以上に設定できるかどうかは、商品ごとに不動産鑑定士、公認会計士など専門家がデューデリジェンス(価値やリスクの精査)を実施して検討している。
「ヒト」への投資のプラットフォーム
将来的に目指すのは「ヒト」への投資である。例えばアイドルユニットを売り出すには億円単位の先行投資を伴うが、その費用をファンド化することで、アイドルユニットの版権や、ライブイベントの入場料収入や放映権収入、CM出演料などのインセンティブを3~10年間受領するような方式での投資を検討している。
松田社長:「自分が応援するスポーツ選手やアイドルが活躍するようになって、利益も享受できることが本質的な応援だと思います」