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名車スバル360の後を継ぐもの
旧態化した「国民車」の近代化版、「R-2」とは

名車スバル360の後を継ぐもの

「名車スバル360」の後継車があるって知ってた?これぞ空冷スバルの決定版!短命ながら人気だったR-2【推し車】
(画像=スバル360の正当な後継車として完成度の高い空冷エンジンを搭載、フロントの大型トランクなど大幅に近代化された「空冷スバルの決定版」、R-2、『MOBY』より 引用)

新型コロナウイルス禍でマイカー所有の意義が見直された一方、部品供給体制の問題で新車の納車待ちが伸びまくり、さらには新車価格は高騰する一方…というわけで中古車市場が活況を呈し、同時に現在とは価値観や基準の異なる1990年代までの「旧車」人気が爆発!

人気の中心は1990年代の高性能車と1960年代以前のヒストリックカーですが、あえてその中間にある70〜80年代の旧車にも「プレイバック!70-80’s」として目を向けてみます。

今回は名車スバル360後継として富士重工(現・SUBARU)が1969年に発売したものの、1973年に販売終了…実質的には1972年までの短命に終わった、スバル R-2の紹介です。

旧態化した「国民車」の近代化版、「R-2」とは

「名車スバル360」の後継車があるって知ってた?これぞ空冷スバルの決定版!短命ながら人気だったR-2【推し車】
(画像=120mmも延長されたホイールベース、前ヒンジの大型ドアによる乗降性向上で、後席の使い勝手は大幅に向上していた、『MOBY』より 引用)

戦時中までの航空機メーカー「中島飛行機」の後身、「富士産業」が戦後の財閥解体で分割、その一部が再結集した後、四輪車メーカーとしては後発ながら1958年に発売したスバル360がヒット作となった富士重工(現・SUBARU)。

それを足がかりに軽商用車のサンバー、小型乗用車のスバル1000と着実に足場を固める中、主力の軽乗用車スバル360はマツダ キャロルやスズキ スズライトフロンテといったライバルに対し、持ち前の軽量ボディと着実な改良で勝ち残ってきました。

しかし1967年、スズキが全面的に設計やコンセプトを改めた新型「フロンテ」や、ホンダの画期的なFFハイパワー軽乗用車「N360」が登場すると、もともと1950年代半ばの設計思想で開発されたとあって、名車スバル360とはいえ旧態化が目立ち、人気に陰りが出ます。

富士重工もヒット作の座に甘えず1960年代初頭から後継車の開発に着手しており、慎重な姿勢がアダとなってライバルの先行を許したとはいえ、いくつの候補から開発コード「D65」を後継と決め、リファイン版D652が新型「R-2」のベースとなりました。

スバル360ヤングSSで先行した高出力版(R-2 SS)はもちろん、スタンダードモデルも30馬力の高出力エンジンを搭載、ホイールベースを120mmも伸ばし居住性改善、前ヒンジの大型ドアで乗降性改善、厚みのあるフロントには大型トランクを装備と一気に近代化!

メカニズム面ではスバル360をベースとしていましたが、通産省の国民車構想に沿って「軽乗用車でも普通に走れる」程度でよかった時代とは異なる、高性能軽乗用車が誕生したのです。