秋晴れの大虹
11月3週目、数日前のまとまった降雪から一転、秋晴れの様相。私は1週間前に食らったぎっくり腰のリハビリと称して、ホーム河川中流域のとあるポイントへ向かいました。
夏は鬱蒼として釣り人を寄せ付けない場所ですが、行く手を阻んでいた虎杖は枯れ果て、痛む腰でも入渓は比較的用意です。増水気味の大淵を流れる分厚い流れは7gでも底を取れなさそうな様子なので、普段はほとんど使わない10gのスプーンで様子を見てみる事にします。
下流側のかけ上がりに向かってキャストし、少しだけラインを送り込んでリールを一切巻かずにそのまま沈めていきます。流れに任せることで自然にいい所に入っていくのでそのままゆっくりルアーを見せていきます。
夏の倍の時間をかけてボトムレンジを引いていき、回収のために少しだけ早めに巻いて中層に差し掛かった時に何か大きな影がスプーンの背後に付いているのが見えました。そこで一旦リトリーブを止めて”チョン”とロッドティップを動かしてみると、ひったくるバイトが見えたのでフッキング。バットから曲がって弧を描くロッド、その先には大きな虹が流心に向かって走っていました。
奇形の大虹
流石に最盛期のスーパーダッシュはないもののずっしりと重く力強いファイトを展開する大虹。一進一退を繰り返す事10分、ようやく近くまで寄せると何か様子がおかしい。さらに引き寄せてネットに誘導して驚きました。その極太ニジマスの背中はへの字に曲がっていたのです。
先天的なものか、幼少期に鳥に襲われてしまったのか不明ですが、スーパーダッシュがなかった理由はこのへの字の体型にあったのかもしれません。
サイズを測るとへの字の魚体でも64cm、曲がっていなければ恐らく66cmは超えているメスの巨虹です。2年前に同じポイントでキャッチした54cmがニジマスの自己記録でしたが大きく更新しました。この体型でここまで成長するまで生き残ってきたのは驚きです。リリースするとゆっくりながら力強い泳ぎで深みに消えていきました。
冬を前に
この11月は厳しい釣りの日も多々ありましたが大物に恵まれました。毎年ながらこの時期はとても名残惜しくなかなか納竿できませんが、積雪で物理的に厳しくなるまではフィールドに出かけていきたいと思う次第です。
<小峠 龍英/TSURINEWSライター>