58cmカンダイが登場
釣れなければ、これも致し方ないですが、まずはブリ狙いの一級ポイントへチャレンジ。選んだ潮筋、水深50mから30mへのカケアガリを潮に乗せて流し、イカを底から5m上の集餌層に維持します。
ひと流しふた流し反応もなく時間が過ぎます。魚探にはベイト反応はありますが、朝の轟音で縮みあがったか、どこかへ逃げたかのような気がします。
そして、3流し目にアタリが出ましたが、足を突っついたような反応ですが喰い込みません。潮上に戻り再度、今度は水深36mで明確にアタリでサオ先が突っ込み、そこでこん身のアワセを入れます。すると、底層で押さえ込むようにこらえる魚、一瞬根ガカリかと疑うパワーですが、タックルはブリを意識したサオからハリスですので、引っ張り合いです。
ブリと違う動きですが、パワーはなかなかのもの。底を切ると、意外に素直になり、海面に現れたのは、タンコブのあるカンダイでした。思わずおいしいのが釣れたとばかりに喜び、泣き二尺の58cm、少々の的外れながらうれしい釣果です。

青物は不発
遊泳力のある青物が群れていたら、タンコブが喰ってくる暇がなかったでしょうが、カケアガリを巣にするこいつが、ゆっくりとイカを食べられたということでしょう。
こうなると、青物不在は明白で、時間をかけて待つか沖上がりかですが、3日間は晩ご飯のおいしい肴になるのを釣ると、食べたい一心で帰港の途に就きました。防波堤からもスーパーのバナメイエビで釣れる近年人気の型物です。大きいのは、80cmを超えるそうで、最初の一撃の引きは強烈。波止からも釣り応えがありますね。

カンダイってこんなにおいしい
カンダイ(寒鯛)との名前ですが、ベラ科コブダイ属で、タイではなくベラの仲間。白身の上々の魚です。瀬戸内の漁港波止で狙える身近な魚で、おいしさは真鯛よりひいきになりそうです。
刺身、煮つけ、フライ、焼き魚なんでもOKですが、船上でゆっくりと失血死をさせたので血抜きは完了済み。身は真っ白なので、まずは刺身と寿司だねで。脂がのってうまい味わいです。

ひいた皮は、大きめに切って吸い物にします。皮下脂肪がたっぷりとあって上々の潮汁が出来上がります。焼き魚もよいですが、煮つけでしょう。骨付きの身をしょうゆ味で煮つけると素晴らしくなります。もちろん、頭も煮つけにし、タンコブの中身はコラーゲンたっぷりです。煮つけは全部食べてしまわないで、一晩冷蔵庫で寝かすと、プリンプリンの煮凝りの煮魚になり、まあ釣り人冥利です。

カンダイを狙うとなると、小さな根や魚礁を探ってみるか、波止でしっかりと狙うことになりますが、強烈な引きと、このおいしさに魅了されました。この冬のターゲット確定です。
<丸山明/TSURINEWSライター>