■BMIやBCIを人々が普通に装着する日

 BMIの実現によって“ユートピア”が近づくことになりそうだが、一部の専門家は手放しでは喜べないリスクを指摘している。

 生物学研究者のクリスティーナ・マーハー氏は障がい者は時としてコンピュータやロボット、AIが犯した間違いを修正するのが難しい場合があることを指摘している。ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)を通じてしかコミュニケーションできない人にとっては、間違いの修正は難しく誤解されるリスクがあり、個人にはどの脳のインパルスをBMIに送信するかを決定する力がないと話す。

 脳データは我々のアイデンティティや精神状態に関して推測できることから、間違いなく我々の最もプライベートなデータであるとマーハー氏は説明する。

 たとえば国防により貢献し最前線で身を守るために、軍の兵士に神経強化装置を装備させるべきなのかどうか、またそれは個人のアイデンティティとプライバシーを危険にさらすことになるのかどうか、そしてデータ保護法、健康法、消費者法、刑法のうち、どの法律が神経系の権利を保障すべきなのか、いくつかクリアにさせなければならない問題があるという。

 しかし技術的な限界もあり、BMIが人類を暗い未来に導く可能性は低いとマーハー氏は指摘する。

 BCIが短いテキストを送信することと、人の意識の流れ全体を解釈することの間には飛躍があり、この飛躍を埋めるにはアルゴリズムをどれだけうまくトレーニングできるかにかかっているという。それにはより多くのデータと計算能力が必要であるとマーハー氏は説明する。

人間と機械が接続され…2040年代までに「マインドコントロールデバイス」が一般的になるかもしれない
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

 科学者のアンドリュー・ジャクソン氏は、今のところ社会は何も恐れる必要はないと指摘する。

 新しい記憶を脳に書き込んだり、記憶をハードドライブやクラウドにアップロードできるかもしれないというSF的な考えは今のところはナンセンスであり、懸念するにはまだほど遠いということだ。

 ジャクソン氏は機器と比較して、人間の身体は依然としてはるかに優れており、BMIは正常に機能する神経系を能力を拡張するにはまだ及ばないのだと説明する。つまりBMIはハンティキャップを埋め合わせたり、バイタルデータのモニターや収集に活用されるものであり、一般人の能力の向上にはまだ使うことができないというのである。

 ワイヤレスイヤホンが瞬く間に普及したように、BMIやBCIを人々が普通に装着する日は確かにそう遠くはないのかもしれない。

参考:「GreatGameIndia」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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