2023年10月6日に発売された三代目となるN-BOXに試乗できたのでお伝えしよう。

N-BOXはもっともよく売れている軽自動車として知られていると思うが、実際、乗用車販売を含めた全体でもトップセラーなモデルなのだ。2023年10月の月販台数を見るとN-BOXは約2万3000台で、乗用車トップはトヨタ・ヤリスの約1万6000台になっていて、日本で一番売れているクルマなのだ。だからホンダにとっては国内乗用車販売の大黒柱でもあり、三代目N-BOXの開発にあたっては全方位のユーザー層に響くモデルにすることが求められているわけだ。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
N-BOX カスタム ターボ(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
N-BOX 標準モデル(ファッションスタイル)(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

そうした背景を背負ってデビューしたN-BOXは、新型となってもひと目でN-BOXとわかり、もはやオーセンティックな存在感とでも言える。エクステリアデザインは標準とカスタムの2タイプで標準は愛らしい瞳を持つヘッドライトが特徴で、カスタムは横一文字のライトとメカニカルな印象を与えるヘッドライトで構成した顔になっている。

またフロントバンパー下部はワイド感をつくり、接地荷重をイメージさせる見た目はスーパーハイトワゴンでありながら、安定感を与えるデザインとなっている。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
N-BOX カスタム ターボ(左)、標準モデル(ファッションスタイル)(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

驚くほど高い静粛性能

車内に乗り込んでみると、やはり空間の広さが感じられ使い勝手の良さそうな印象が湧き出る。二代目に比べフロントのショルダースペースは+5mm、リヤで+55mm、ヘッドスペースは+5mmさらに拡大されているのだ。小さい子供であれば車内で立ったまま着替えができるなどの、市場の声にしっかり応え、どの年代層にも、どの利用方法でも高い満足度が得られる工夫が随所にある。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
N-BOX カスタム(ボディカラーはプレミアムサンライトホワイト・パール)(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

驚くのはダイナミック性能だ。驚くほど静粛性が高まり上質な移動空間に進化していることだ。エンジンは二代目を継承し、各種適合対応などをしている程度なのだが、ボディ側での静音、吸音対策により、静粛性が高まっている。主に、ルーフライニング基材構成の変更が行なわれ、とくにカスタムモデルではフロアカーペットに遮音層フィルムを追加するなどの対策が取られている。

そのため、走り出しやフル加速といった状況ではエンジン音は聞こえてくるが、40km/h、60km/hといった日常的な走行速度の時はエンジン音がほぼ聞こえてこない。アクセルを少し開けた状態での巡行では滑るように走行し上質な移動空間であることを体感するのだ。また市街地だけでなく高速走行でも80km/hの巡行であれば同様のフィーリングが得られる。もっとも高速道路を660ccのエンジンでは加減速時に高回転まで回ることになり、どうしてもエンジン音が聞こえるのは仕方ないか。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
カスタムのターボ車に装着される15インチホイール(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
ファッションスタイル専用の14インチキャップ(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

ちなみに燃費は取材中、どちらのモデルも車載燃費計で22km/L前後で、カタログデータではターボのカスタムが20.3km/L、NAの標準車が21.6km/Lで、いずれもカタログデータを上回っていた。

乗り心地も満足

乗り心地でも満足度の高い印象を持った。今回の試乗テストでは標準とカスタムの2タイプを乗ったが、シートはファブリックとスエード調シートで、とくに標準モデルのファブリックはソフトな座り心地で、乗り心地まで良く感じられるシートだった。スエード調はカスタムのターボ車ということもあり、やや張りがあってスポーティな印象。それでも乗り心地の良さは伝わってくる。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
標準モデルのインテリア(グレージュ×グレー)(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

段差など大きな入力がある場所ではいずれも丸いショックでガツンとしたショックはない。そして路面のアンジュレーションに対しては、足がよく動いている印象があり、スーパーハイトでありながらフラットライドな感触はある。シートポジションが低ければ、よりフラットライドを感じると思った。そしてツブザラな路面での静粛性も高く、前述の静音対策は乗り心地の良さに連動して魅力アップしていると感じた。

【試乗記】新型ホンダ N-BOX 全方位でユーザーニーズに応える三代目
リヤの格納式のテーブルはコンビニフック付(タイプ別設定)(画像=『AUTO PROVE』より 引用)