違法行為でも言い逃れできる余地が多い
違法であれば摘発されることもあるだろうが、なぜ派遣会社は「釣り求人」を続けることができるのかが不可解である。
「実は、先ほど述べた法律の第5条の4第2項『求人情報を正確かつ最新の内容に保つ』ということについて、罰則規定が設けられていないのです。ただ、同法律の65条の9号には、虚偽の広告や虚偽の条件を提示して労働者の募集をした場合、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金を科せられるという罰則があります。しかし、この罰則規定を適用することがなかなか難しく、派遣会社側が言い逃れできてしまうのです。例えば、虚偽の求人広告を載せていたとしても、派遣会社が『本当にあった求人だが、ついこの間、採用枠が埋まってしまった』などと言い訳すれば、たいていの場合はそれ以上の調査ができません」(同)
ほかにも、派遣会社側が「求人情報の条件とは異なるが、契約時に労働者と派遣先企業が合意のうえで条件を変更した」と言い逃れするケースもあるというが、こちらは追及の余地があるそうだ。
「派遣会社がそのように言ってきた場合、募集時の条件が契約締結前に変更されたことを証明する書面を交付することが法律で義務付けられています。ですから、派遣会社がそう言い訳してきた際には、証明書を提示してくださいと追及するといいでしょう」(同)
またX上では、求人情報に「女性大歓迎!」などと記載されていた場合、実質的に男性は対象外になっている場合があるといった指摘もあった。
「職業安定法の3条では、職業紹介などにおいて性別、人種、国籍、信条、社会的身分などを理由に差別的な取扱を行ってはいけないという規定があります。ですから『女性限定』『日本人募集』といった条件にするのは違法となるのです。そのため、実際は女性しか採用するつもりがない場合などは、『女性大歓迎!』のような表現にして募集をかけるという“裏”があります。こちらも『性別で判断しているのではなく、あくまで総合判断の結果』というような言い逃れをされると、追及ができなくなってしまうのです」(同)