株主優待を実施している企業の株式へ投資をして、優待をもらう投資が今個人投資家の間でブームとなっている。

優待投資の目的は、自分のお気に入りの企業に投資をして、企業からのお礼(プレゼント)をもらい生活に役立てることである。生活に即した品物や金券、サービスを受けることができることもあって、優待投資が今、一つの投資ジャンルとして確立されつつある。

しかし、優待をもらうことに着目しすぎて、株価の値動きがあることを忘れてしまう人は意外と多いのも事実だ。ここはやはり、株式投資の一ジャンルという意味合いも込めて、優待をもらいながら、できれば値上がりによる利益も2重でとりたいところだ。

そのためには、株主優待を投資家に提供しながらも、企業業績を伸ばして株価が上昇する可能性の高い銘柄を選ぶことが重要になる。そこで優待と値上がり益の2重取りのための銘柄の選び方をご紹介していく。

もらう優待で迷ったときには人気な方をえらぶ

できれば優待は自分が本当にほしいものをいただきたいものだ。しかし、値上り益を同時に得たいのであれば、ここはぐっと我慢して優待をもらう基準を「自分目線」から「他人目線」へと変えてみよう。

例えば、優待で園芸品をもらえる優待株があったとする。園芸が趣味の自分からすると最高の優待だと考えても、多くの人にとって園芸品はそれほど魅力的な優待とはうつらないかもしれない。

優待株の特徴としては、優待欲しさから株が買われることで、その影響をうけて株価があがるところにある。誰もが欲しがる優待株でないとやはり株価はあがりにくいといえる。特に優待株をいくつか選択肢として選んだ際に、どれを買うか迷うようなときには「誰もが欲しがる優待」という基準で選んでほしい。

以下の優待は人気が高い優待なので参考にしてほしい。

1 クオカード(どこでも使える・使い勝手が良い)
2 ギフトカタログ(選択肢がある・家に届く)
3 スタンダードな飲食料が届く優待(飲食料は人気が高い・家に届く)

この、「どこでも使える・使い勝手が良い・家に届く」の3つの要素は優待の人気を高める重要な要素だと筆者は考えている。

値下がりしにくい株ってどんな株?

次に値下がりしにくい株を選ぶ必要がある。これはずばり「業績の良い株」である。

当たり前だと思うかもしれないが、意外と優待株を買っている人は業績の危うい企業の株を買っていたり、すでに大きく買われすぎている株式を高値掴みしたりしている場合が多いのだ。基準としては以下の2つを考慮してほしい。

・PERが10倍以下、最低でも15倍以下を狙う
(業種にもよるが一般的には10倍以下は割安だといわれている)
・一株利益が毎年安定的に伸びていること

PERとは株式が業績に対してどれくらい買われているのかを示す指標のことだ。高いほど割高で、成長性の高い企業のPERは将来への期待から100倍を超す企業も存在している。狙いたい優待株のPER水準としては先ほどご紹介した水準で狙いたいところ。

また一株利益の安定推移は、将来の利益を予想するうえで重要だ。過去の利益推移は客観的なデータとして残されたものなので、最も信頼性が高い。過去数年、利益が順調に伸びている企業は、そうでない企業に比べて将来も順調に伸びる可能性は高いはずだ。

値上がりしやすい株ってどんな株?

さて、次は値上りしやすい株の特徴だ。結論から言えば「小型の株式」を狙うことだ。

小型の株式とは、時価総額が数十億円から数百億円程度の企業規模の小さな銘柄をいう。例えば、優待実施はしていないがトヨタ自動車は23兆6000億円、人気の優待を実施しているオリックスの時価総額は2兆4000億円だ。このような超大型株は優待目的で買っている人の割合が小さすぎて優待目的の買い資金による上昇はほとんど見込めない。どちらかといえば為替市場や米国株式の動向に左右される株式といえるだろう。

一方で小型銘柄であれば、企業規模が小さいので少ない資金で株価が上昇する可能性がある。そして、それが優待株であればなおさら優待目的の資金による上昇が見込めるはずだ。1つ例を挙げよう。

TOKAIという優待株がある。業績も安定的で、優待も魅力的な企業だ(推奨しているわけではないのでご注意いただきたい)。

この企業の最新の株主通信によると「何を目的に当社の株を買ったか」というアンケートに対して最も大きな割合だったのが、株主優待目的だ。次に事業内容、配当金……と続く。

このように優待を実施している企業でも、「時価総額(企業規模)」を見ることで、その企業が上がりやすい株なのかどうかをみることが可能だ。

上記3ステップを踏んで優待株選びを

まとめると以下のようになる。

1 人気の優待を実施していること(クオカード・ギフトカタログなど)
2 PER10倍以下推奨・1株利益の安定推移
3 小型の株式であること(時価総額が小さめ)

以上、株の値上がり益と株主優待の2重取りをするために必要な要素である。もっと株主優待の選び方や売買のタイミングを知りたい方は筆者の著書「元証券ディーラーたにやんの超・優待投資」を参考にしていただきたい。

文・谷山歩/ZUU online

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