2018年に経済産業省がDXレポートで提示した「2025年の崖」が迫っている。これは、日本企業の既存ITシステムが老朽化・複雑化してレガシーシステムとなり、新しいデジタル技術の導入がうまくいかずDXが遅れることで、世界のデジタル競争に勝てない状況となることを警告するものだ。
同レポートでは、日本企業のDXが進まなかった場合に予想される2025年以降の経済損失は最大で毎年12兆円にものぼると予測している。
既存システムの維持や保守に資金や人材を割かれることで、新たなIT投資にリソースを活用することができないといったリソース不足の課題も指摘。日本のIT人材不足が深刻化するなか、グローバル競争が激化する環境や技術の多様化なども相まって、昨今は外国人エンジニア採用の需要が高まっている。
エンジニアが知りたい“リアルな情報”を読み解く
英語を話すエンジニア人材に特化した求人サイトを運営するTokyoDevは、2023年10月13日~11月6日の期間、日本在住のソフトウェア開発者を対象にアンケートを実施。さまざまな国籍の日本在住エンジニアの働き方や給与、技術に関する調査を行い、713名からの回答結果をまとめて公表した。
同調査は「エンジニアが知りたいリアルな情報」として、すでに日本で働くエンジニアだけではなく日本で働きたいと希望する海外在住のエンジニアからも好評だという。
海外から、高い技術を持つエンジニアを採用したいと考える企業にとって、雇用条件などを改めて考えるヒントとなるかもしれない。ここでは、アンケートの一部を抜粋して紹介する。
年収中央値は850万円に減少、男女の給与差も
まず年収の中央値については、昨年の950万円から100万円減少して850万円となった。この結果には、回答者の経験年数が昨年の回答者に比べ短いことが影響している可能性も指摘。
一方、外資系企業の日本支社で働いている回答者の年収中央値は、日本に本社を置く法人で働くエンジニアよりも73%高い結果となった。
男女比でみると、女性エンジニアの給与が男性エンジニアよりも低い傾向は継続。
なお回答者のソフトウェア開発経験年数は、男性エンジニアの経験年数の中央値が8年に対し、女性は2年。全体の平均は5年で、昨年よりも2年短い傾向だという。
男性に比べ女性のほうが平均経験年数が短いことが年収の差に反映されたという見方もできるが、同程度の経験年数で比較した場合においても年収における男女差は残るという。